今回はコーヒーのお話です。
前回の緑茶のついでに、というと、コーヒー好きにはちょっと失礼になるでしょうか。
という私も、実は毎日1杯のコーヒーから朝を始めるコーヒー好きです。
コーヒーの良い効果が立て続けに発表されているのは
ひいきを自重して、少し一歩引いたほうが良いのかなという思いはあります。
昨年の6月の報告ですが、コーヒーに関する研究です。
Association of coffee drinking with total and cause-specific mortality
Freedman ND et al. N Engl J Med : 366(20):1891-904 , 2012
コーヒーを飲むと死亡リスクが下がるというお話です。
コーヒーを飲むことと死亡リスクとの関連性を明らかにしようとするもので
50歳から71歳の22万9千119人の男性と17万3千141人の女性を対象に、総死亡率と原因別死亡率でコーヒーとの関連性を検討しました。
対象者の中から、ガン、心臓病、脳卒中を持つ参加者は除外しています。
その結果では
1995年から2008年の間に、3万3千731人の男性と1万8千784人の女性が死亡。
年齢だけで補正すると、実は死亡リスクはコーヒーを飲む人で増大していました。
ただし、コーヒーを飲む人は喫煙する傾向にありましたので、
タバコ喫煙の有無や、その他の潜在的な交絡因子を調整したところ
コーヒーの摂取と死亡リスクの間に有意に逆相関することがわかりました。
つまり、コーヒー摂取量が増えれば、死亡リスクが小さくなるということです。
コーヒーを飲んだ男性と飲まない男性とを比較して
コーヒーを飲まない人の死亡リスクを1.0とした場合、コーヒーを飲む人は
1杯未満 | 0.99 |
1杯 | 0.94 |
2、3杯 | 0.90 |
4、5杯 | 0.88 |
6杯以上 | 0.90 |
女性の場合
1杯未満 | 1.01 |
1杯 | 0.95 |
2、3杯 | 0.87 |
4、5杯 | 0.84 |
6杯以上 | 0.85 |
簡単に言えば、1.0より小さいと死亡リスクが小さいという意味です。
心臓病、呼吸器疾患、脳卒中、ケガや事故、糖尿病や感染症による死亡は、コーヒーを飲むとリスクが減少。
その一方で、ガンによる死亡は減少しなかったようです。
この報告で注意しないといけないのは、コーヒーと死亡リスクの因果関係をきちんと示しているものなのか
実はコーヒーとは関係なくて、ただの表面を見ているものなのかが、今回のデータからは判断できないということです。
もしかしたら、偶然に死亡リスクの低い人たちが、たまたま単にコーヒー好きだった、と言えなくもない?
この報告を見て、それじゃあ、コーヒーをたくさん飲もうじゃないかと考えている方にはご注意いたします。
カフェインの取りすぎは人によっては血圧を上昇させたり、不眠、頭痛などの副作用もあります。
作用があるものには、必ず副作用があるものです。
嗜好品はやはりほどほどが良いですよ。