高齢化社会が進む中、複数の多くの薬を長期にわたって服用する「ポリファーマシー」という状況が問題視されています。
この状況は、増加する医療費や患者のQOL(生活の質)の低下に直結しているため、医療界では以前から注目されているものです。
最近の研究では、ポリファーマシーに関連するリスクとして、死亡率の上昇、転倒、入院、機能的および認知的低下が指摘されています。
特に、高齢者の間でこれらのリスクが顕著になる傾向があります。
この問題に対処するために様々な介入方法が試みられています。
例えば、薬剤の見直しや患者との面談を含む積極的な薬剤レビューなどが行われています。
しかし、これらの介入の効果は必ずしも一貫しているわけではありません。
研究の結果は混在しており、救急外来への受診や入院の減少を示すものもあれば、効果が見られないとするものもあります。
このように、ポリファーマシーへの介入の効果は、その内容や対象とする患者層によって異なることが示されています。
さらに、転倒や入院の減少に関しても、有効な証拠は限定的です。
多くの研究レビューでは、これらのイベントとの関連性は見られず、結果は混在していることが多いのです。
このような状況を鑑みると、ポリファーマシーに対するより効果的な介入方法を見つけるためには、さらなる研究が必要といえます。
特に、多病を持つ高齢者における介入の効果については、今後の研究において重要なテーマとなるでしょう。
ポリファーマシーの問題は、単に薬剤の数を減らすことだけでは解決しない複雑なものです。
患者一人ひとりの状況に応じた、個別化されたアプローチが必要とされています。
医療提供者は、患者の生活の質を高め、無用なリスクを避けるためにも、この問題に対して敏感である必要があります。
元論文:
Keller MS, Qureshi N, Mays AM, Sarkisian CA, Pevnick JM. Cumulative Update of a Systematic Overview Evaluating Interventions Addressing Polypharmacy. JAMA Netw Open. 2024 Jan 2;7(1):e2350963. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2023.50963. PMID: 38198136; PMCID: PMC10782233.