近年、ビデオゲームが認知機能に与える影響についての研究が注目されています。
特に、モバイルアクションビデオゲーム(MAVG)がどのように人々の注意力に影響を与えるかは、多くの研究者の興味を引くものです。
今日紹介する研究は、単一のMAVGセッションが大学生の注意ネットワークにどのように影響を与えるかを調査したものです。
元論文はこちら→
Wang B, Jiang J, Guo W. Effects of a single bout of mobile action video game play on attentional networks. PeerJ. 2023;11:e16409. Published 2023 Nov 10. doi:10.7717/peerj.16409
研究では、普段ゲームをしない大学生72人を、ランダムにMAVGグループとコントロールゲームグループに割り当てました。
MAVGグループは60分間「Honor of Kings」というゲームをプレイし、コントロールグループはカードゲームを同じ時間プレイしました。
その前後で、参加者は注意ネットワークテスト(ANT)を行い、警戒、方向付け、実行制御ネットワークの効率を評価しました。
それで面白い結果が出たようです。
MAVGグループは、介入後に警戒ネットワークの効率が有意に向上していました。
しかし、実行制御ネットワークや方向付けネットワークの効率は向上していませんでした。
これは、特定のタイプのゲームプレイが特定の認知機能を強化する可能性があることを示唆しています。
この発見は、ビデオゲームが単なる娯楽以上のものである可能性を示しています。
特に、MAVGは随所でアクセス可能であり、注意力機能の促進に役立つかもしれません。
例えば、ある種の警戒ネットワークに不足が見られる人々にとって、MAVGは特に有益かも知れないということです。
しかし、この研究にはいくつかの限界もあります。
一つのゲームセッションの影響だけをテストしたため、長期的な影響は不明です。
また、特定のビデオゲームジャンルが認知機能に及ぼす影響については、さらなる研究が必要です。
最終的に、この研究はビデオゲームが認知機能、特に注意力に及ぼす影響を理解する上での一歩となりそうです。
将来的には、「注意力を高めるゲーム」とか「実行力を増すゲーム」とかが学校教育のカリキュラムに組み込まれる世の中が来るかも知れませんね。
