私は「昭和40年男」です。
勝手に分類すると、世代的に厨二病に侵され続けている人種ですから、「都市伝説」やら「ムー」の掲載記事が大好物です。
言い換えれば、超常現象、幽霊や未来予知、テレパシーなど、科学的に説明が難しい現象については、信じるか信じないかは別にして、その類の話を聞くのが好きです。
そんな私でも、ちょっと引いてしまうほど、かなりマニアックに信じている人がいますね。
逆に、そんな話をシャットアウトするほど、ハナから信じなくて、受け付けない人もいます。
両者の違いはどこにあるのでしょうか。
この研究では、この問題に科学的なアプローチで挑んでいます。
元論文はこちら→
Narmashiri, A., Hatami, J., Khosrowabadi, R. et al. Paranormal believers show reduced resting EEG beta band oscillations and inhibitory control than skeptics. Sci Rep 13, 3258 (2023). https://doi.org/10.1038/s41598-023-30457-7
研究者たちは、超常現象を信じる人々と懐疑的な人々の脳の活動を比較しました。
具体的には、EEG(脳波)を用いて、休息時の脳のベータ帯域振動というものを測定しました。
ベータ帯域振動は、集中力や注意、思考の活動と関連しているとされています。
そして、参加者は、Go/No-Goタスクと呼ばれる課題を与えられました。
これは、特定の刺激に対して反応するかどうかを判断するシンプルな課題です。
Go/No-Goタスクは心理学実験でよく用いられる手法で、参加者の「抑制制御」能力を測定するのに用います。
具体的には、参加者には画面上にさまざまな刺激(たとえば、色や形、文字など)がランダムに表示されます。
参加者は、特定の刺激(Go刺激)が出た場合には指示された反応(たとえば、ボタンを押す)をするよう求められます。
一方で、別の特定の刺激(No-Go刺激)が出た場合には、何もしない(この場合は、ボタンを押さない)ように指示されます。
このタスクは、どれだけ迅速に「Go」の指示に従えるか、また、「No-Go」の場合に反応をどれだけうまく「何もしない」かを測定します。
つまり、反応速度だけでなく、反応をおさえる能力も評価されるわけです。
そんなわけで、Go/No-Goタスクは単純なようでいて、実は参加者の脳の働きを多角的に評価する非常に有用なツールなのです。
さて、結果はどうだったでしょうか。
超常現象を信じる人々は、懐疑的な人々と比べて、ベータ帯域振動が低く、抑制制御の能力も低いという結果でした。
つまり、これは何を意味するのでしょうか。
研究者たちは、超常現象を信じる人々が、直感で信じてしまう傾向があり、抑制が効かないと指摘しています。
つまり、「むむむ。ちょっと待てよ?」という警告なしに信じ込んでしまうということです。
研究は、信念や価値観が脳の働きにどう影響するかを明らかにしようとしているものです。
この場合、脳の働きとしては、超常現象を信じるかどうかというのは、ほんの一例に過ぎないのでしょう。
何かを盲信すると分別がつかなくなるというのは、脳の働きによるものなのかも知れませんね。