量子ドット。この微細な粒子は、テレビ画面やLEDランプから光を放ち、化学反応を触媒し、さらには手術中の腫瘍組織を照らすこともできます。
2023年のノーベル化学賞は、この量子ドットの発見と開発に対して、Moungi G. Bawendi、Louis E. Brus、そしてAlexei I. Ekimovに授与されました。
さて、量子ドットと聞いても、多くの人はピンとこないかもしれません。
量子という言葉に対する一般的なイメージは、何か高度で難解なもの、そしてドットとは…点? それも間違いではありません。
量子ドットは、数ナノメートル(1ナノメートルは1メートルの10億分の1)の大きさを持つ半導体の粒子です。
そして、サイズによって色が変わるという特性を持っています。言い換えれば、サイズを変えるだけで赤、青、緑といったさまざまな色の光を発生させることができます。
では、どうしてこれがすごいのか。
一例を挙げれば、量子ドットは特定の波長の光を発生させる能力があります。
これが意味するのは、例えば医療分野で、特定の腫瘍組織だけを照らし出すことが可能になるということです。
一般的なイメージで言えば、暗闇の中で目の前の道だけを照らす懐中電灯のようなものです。しかもその光は、普通の光よりもはるかにクリアで、より正確な手術が可能になるのです。
データを見てみると、量子ドットを用いた医療診断の精度は従来の方法に比べて約20%向上しています。これは、疾患の早期発見や治療成功率に直結する非常に価値のある進歩です。
さらに、量子ドットはLED電球の開発にも貢献しています。
これにより、エネルギー効率が向上し、CO2排出量が年間で約2%減少するとされています。地球温暖化に対する小さな一歩かもしれませんが、何ごとも積み重ねが大事ですから。
では、量子ドットがどのように作られるのか。
簡単に言えば、高温で金属元素と非金属元素を反応させて粒子を作るのです。
しかし、この過程は実際には非常に高度な技術が必要で、粒子の大きさや形状、性質をコントロールするための多くの工程が含まれています。
量子ドットはただの「点」ではありません。
この点が集まって形成する「線」や「面」は、未来のテクノロジー、医療、環境問題に多大な影響を与えるでしょう。
そしてその影響は、私たち一人一人の生活にも波及していきます。
何かを発見、発明したあとに、大切なのは、その発見・発明がもたらす影響を理解し、それを最大限に活用する知恵と技術が重要になる、ということです。
ノーベル賞の発表は、発見・発明がもたらした人類への恩恵について学ぶ良い機会になりますね。
量子ドット、名前を覚えておいて損はないです。
