デジタル時代では、多くの人々がビデオゲームやソーシャルメディアに時間を割く傾向にあります。
しかし、その一方で、自分に課した困難な課題にマジメにコツコツと取り組む人々もいます。
この違いは脳内の神経伝達物質であるドーパミンによるものです。ドーパミンは快楽の分子として知られていますが、実際には欲望や動機づけを生む役割を果たしています。
ドーパミンの効果を理解するために、ネズミを用いた実験を紹介しましょう。
研究者たちは、ネズミの脳内に電極を埋め込み、ネズミがレバーを引くたびに脳内の報酬系を刺激するようにしました。その結果、ネズミはレバーを引き続け、食事をせず、とうとう倒れるまで活動を続けました。
逆に、脳内の報酬中枢でのドーパミンの放出を阻害した場合、ネズミは食欲を失い、活動的な動機づけを失いました。
ホメオスタシスという生物学的システムによって、体はドーパミン受容体の数を調節し、耐性を発現させます。そのため、高レベルのドーパミンを得ることに慣れると、低レベルのドーパミンを感じることが難しくなります。このことが、モチベーションに影響を与える可能性があります。
現代社会において、我々は自覚せずに高レベルのドーパミンを得るようになっています。
例えば、ソーシャルメディアやビデオゲームなどの視聴によって。これらの活動は報酬の可能性があると期待することでドーパミンを放出させます。
しかし、ドーパミンの耐性が生じることで、低レベルのドーパミンを感じることが難しくなります。そのため、人々はビジネスや勉強の代わりに高レベルのドーパミンを得られる活動に取り組むようになるのです。
ドーパミンの耐性を打破し、低レベルのドーパミンを感じることに興味を持つためには、「ドーパミンデトックス」が有効です。
これは、高刺激性の活動を一定期間避けることを意味します。
ドーパミンを減らすことで、脳の受容体が回復し、刺激が少ない課題をより楽しむことができるようになります。
完全なドーパミンデトックスを行うことができない場合でも、毎週1日を選んで、高ドーパミンの行動を制限することがおすすめです。
そのうえで困難なタスクを行います。利益をもたらすものにドーパミンを関連付けたいのです。
最初に高ドーパミンの行動にふけってしまうと、低ドーパミンの仕事をする気になれなくなるかもしれません。
そのために、少し工夫が必要です。「ごほうび」システムを導入するのです。
例えば、低ドーパミンの仕事を1時間終えるごとに、15分間の高ドーパミンの活動を許可します。このようにすることで、長時間取り組むことができます。
ドーパミンの耐性の影響を打破し、低レベルのドーパミンの活動に対する興味を回復させるわけです。
モチベーションの問題を抱えている場合は、「ドーパミンデトックス」を取り入れてみることをおすすめします。
