ミステリー「ストーンサークルの殺人」

 

 

やはりミステリー小説は面白いです。日常を忘れるほどに没頭してしまうのが、秀逸なミステリーの魅力ですね。

この「ストーンサークルの殺人」は、M W クレイヴンというイギリスの作家が書いたミステリー小説で、2019年にイギリスの推理作家協会主催の最優秀長編作品に与えられるゴールド・ダガー賞を受賞しました。

 

あらすじはこうです。

イギリスのカンブリア州のストーンサークルで次々と焼死体が発見されました。マスコミに「イモレーション・マン」と名付けられた犯人は死体を猟奇的に損壊しており、三番目の被害者にはなぜか、不祥事を起こして停職中のNCA(国家犯罪対策庁)の警察官「ワシントン・ポー」の名前と「5」の字が刻み付けられていました。身に覚えのないポーは上司の判断で停職を解かれ、捜査に合流することになります。

 

この小説の魅力はなんと言ってもその個性的な主人公たちでした。

ワシントン・ポー:国家犯罪対策庁の警官。かなり個性的な刑事で、過去に問題を起こして停職処分になった。事件に巻き込まれる。

ティリー・ブラッドショー:国家犯罪対策庁の分析官。IQ200以上の天才的な頭脳を持つが、社会性や感情表現に苦手な面がある。

フリン・エリオット:カンブリア州警察の警部。ポーとブラッドショーと協力する。

イモレーション・マン:ストーンサークルで殺人を犯す謎の犯人。

 

ポーとブラッドショーの二人は対照的な性格ですが、次第に信頼関係を築いていきます。これがバディ小説としても楽しいのです。ニヤニヤがとまらない感じです。

物語の最初の猟奇的に殺害された描写が少々どぎついのですが、なぜ犯人はそういう選択をしたのかという動機にもつながっており、終盤の凄惨な結末をより納得させる鍵となっています。

「ワシントン・ポー」シリーズは、「ストーンサークルの殺人」を1作目にして「「ブラックマザーの殺人」「キュレーターの殺人」と続くようですから(邦訳されていないものも含めると5作あるそうですね)これからの展開がとても楽しみです。