心の中で自分の過去を追体験したり未来を前もって経験したりするヒトの能力を「メンタルタイムトラベル」と呼びます。
特に過去へのメンタルタイムトラベルに関しては、エピソード記憶に相当すると言われています。
「エピソード記憶」とはヒトの持つ長期記憶のうちのひとつで、その対になるのが「意味記憶」です。
「意味記憶」とは「世界に関する知識の記憶」のこと。それとは対照的に「エピソード記憶」は「ある時間にある場所で生じた個人の経験に基づく出来事や事象を意識的に再現する記憶」と定義されています。
過去へのメンタルタイムトラベルの特徴は、1)想起という機能、2)自己の関与、3)主観的な時間・時間感覚、4)自己思惟的意識(autonoetic consciousness)です。
自己思惟的意識というのは、自分が実際に出来事を経験したという意識のこと。
過去の出来事をおぼろげに思い出しても、いつのことだったか正確に思い出せなかったり、いつのことだったかは覚えているけれども具体的には言えなかったりする経験を多くの方がされているのではないでしょうか。
でも、実際に出来事を経験したという意識はある、というような。
過去のメンタルタイムトラベルというのは、自分が経験したエピソードを辿るタイムトラベルです。追体験と言っても良いでしょう。
私が面白いと思ったのは、未来へのメンタルタイムトラベルも存在することでした。
過去のメンタルタイムトラベルの4つの特徴のうち、1)想起以外の3つの特徴(自己、主観的時間、自己思惟的意識)は、未来でも当てはまると言われています。
そして、「想起」を「想像」に置き換えると、未来へのメンタルタイムトラベルがより分かりやすいのではないでしょうか。
未来へのメンタルタイムトラベルとは、私たちが今までやってきた自分を主人公とした未来の妄想と言っても良いですね。
未来のメンタルタイムトラベルには、幸福度を上げるコツがあるのだそうです。
つまり、できるだけポジティブな自分を妄想すること。
どうせ時間旅行するのなら楽しい方がいいに決まっていますし、ワクワクするようなトラベルを想像するだけで幸せになれるのなら、それこそラッキーです。