今週末に開催予定の第15回長時間透析研究会の抄録集が届きました。
私たちクリニックのメンバーは台風19号の影響を懸念して、参加を断念した学会です。
研究会のテーマは「患者の状態にあった長時間透析とは何か」
個人的に興味をひいたのが13日(日)の医師シンポジウム内の坂井瑠実先生の演題でした。
「高齢者にも長時間透析が必要か?」
抄録のまとめの部分にこういう記述がありました。
「透析をしているとはいえこの高齢化時代に元気で生き抜いていくには、しっかり食べて、しっかり透析をして、運動をする、体を動かす、人生を楽しむことに尽きると考えている。」
一般に年齢を重ねれば重ねるほど、人は個別の差が激しくなります。
「高齢者」という括りで一概に言い切れないほどの差がありますが、私達のクリニックで透析をされている高齢者の方々のご様子を拝見していると、やはりご家族が密に関わっている方は、体の状態が良いようです。
血液検査の結果でも、栄養状態(血清アルブミン値)などが、若い人よりも良いぐらいです。
「食べる」という行為は、日常的である故に、家族の関わりが最も影響を受けるものなのでしょう。
「ごはん、ちゃんと食べてる?」と聞くと、患者さん本人は「食べ過ぎなぐらいですよ」という返事が、家族からは「あまり食べないんですよ。最近、食欲がないみたいで」と覆されることは、良く経験することです。
一番の観察者であり、報告者でもある家族がそばにいてくれること。
けれども、現実はそれが困難な方も多いです。
元気に歳を重ねるには、どうしたら良いか。医療者だけでなく、自分の身に置き換えて常に考えてもらいたいテーマです。