2月、「100分de名著」がアドラー心理学を取り上げるという話を聞いて喜んでいたのですが、テレビを見ない私はやはりテキストを読むだけでした。
けれども、それでもアドラー心理学のエッセンスを感じることができたと思います。
アドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」と言います。
雨が降っていると仮定しよう。傘を持っていったり、タクシーに乗れる、でも、雨と闘ったり、負かそうとしても無駄だ。今はあなたは雨と闘って時間を費やしている。
これがあなたの力を見せることであり、雨に勝っている、と思っている。でも、実際には、他の誰よりも、あなた自身を害しているのだ。
(第四章 早期回想「早期回想の分析」)
雨そのものを止めることは人間にはできるはずがありません。せいぜい道具をつかって濡れないように避けることができるぐらいです。
同じように感情や力で他者を支配しようとしてもできません。また、できるはずもないのです。
ですから、他の人が自分のことをどう評価するかなどということもどうすることもできません。その人の問題です。
自分の人生の課題は自分自身で解決していくしかない。他者の課題とは分けて考えていかなければならない。
一方で、アドラーは同時に「共同体感覚」についても述べています。
われわれのまわりには他者がいる。そしてわれわれは他者と結びついて生きている。
人間は、個人としては弱く限界があるので、一人では自分の目標を達成することはできない。
もしも一人で行き、問題に一人で対処しようとすれば、滅びてしまうだろう。自分自身の生を続けることもできないし、人類の生も続けることはできないだろう。
そこで、人は、弱さ、欠点、限界のために、いつも他者と結びついているのである。自分自身の幸福と人類の幸福のためにもっとも貢献するのは共同体感覚である。
(第一章 人生の意味「人生の三つの課題」)
人生の意味は全体への貢献である。
人生の意味は、貢献、他者への関心、協力である。
読むたびに新しい発見が、アドラーにはあります。目からウロコが落ちる感動を経験します。