セイレーンは人魚として知られています。
しかし、ギリシア神話では必ずしも人魚ではないんですね。
それを説明するのに、ちょうど良い絵画があります。
下の絵は、John William Waterhouseが描いた「オデュッセウスとセイレーンたち」です。描かれている怪物は人魚ではないですね。
実はこの鳥の形をしたものがセイレーンなんです。
このセイレーンは上半身が女、下半身が鳥の形をした海の怪物として描かれています。
美しく甘い歌声で、近くを通る船乗りを誘惑します。ひとたび彼女たちの歌に魅了されてしまうと、男たちはなす術なく、白骨と化すまでその場に永遠に留まることになるのでした。
さて、オデュッセウスの舟が通りかかった時、セイレーンたちは誘惑を試みました。
このとき、オデュッセウスは魔女キルケの助言に従って、あらかじめ船員の耳に蜜蝋をつめて耳栓をし、自分は帆柱に縛りつけておいたため、誘惑に屈せずにすんだというお話です。
絵を良く見ると、船員たちが頭ごと耳を布被りしていますね。真ん中の帆柱に縛りつけられた男がオデュッセウスです。
セイレーンが人魚として語られるようになったのは、後のお話なのだそうです。
下の絵は、harvard james draperが描いた「オデュッセウスとセイレーンたち」
船員たちが耳栓をしているのと、帆柱に縛りつけられたオデュッセウス。内容は一緒ですが、セイレーンたちの姿が人魚です。