目標は「何をする!」に置き換える

 

今回のお話は新年の決意に関する面白い研究です。

この研究は、人々が新年に立てる目標の成功率について、特に「アプローチ指向の目標」対「回避指向の目標」という観点から分析しています。

この研究はスウェーデンのストックホルム大学などの研究者によって行われました。

参加者は1066人の一般の人々です。

彼らは「サポートなし」、「少量のサポート」、「拡張サポート」の3つのグループに分けられました。

最も一般的な決意目標は、身体的健康、体重減少、食生活の改善に関連していました。

一年後の追跡調査では、全体の55%の参加者が自分の決意を維持できたと考えていました。

特に注目すべき点は、「アプローチ指向の目標」を持つ人々が「回避指向の目標」を持つ人々よりも成功率が高かったことです。

アプローチ指向の目標は、例えば「もっと運動する」といった肯定的な行動を促すもので、成功率は58.9%でした。

一方で、回避指向の目標は「喫煙を減らす」「無駄遣いをなくす」などの、ある否定的な行動を避けることに焦点を当てたもので、その成功率は47.1%でした。

グループ間での比較では、ある程度のサポート(目標設定に関する情報やエクササイズを含む)を受けたグループが最も高い成功率を示しました。

これは、適度なレベルのサポートが、過剰なサポートや全くのサポートなしよりも効果的であることを示しています。

この研究は、目標の指向性が新年の決意の成功に重要であることを強調しています。

つまり、「〇〇をやめるぞ!」という目標よりも「〇〇をやるぞ!」という目標の方がいいのです。

例えば、「ゲームの時間を減らす」よりも「本を毎日読む」という表現に置き換えた方がよいというわけです。

新年の決意は、単なる風習ではなく、行動変容を促進する潜在的な手段として捉えることができます。

効果的な目標設定に関する情報やエクササイズが成功率に影響を及ぼす可能性があることが示されています。

 

元論文はこちら:

Oscarsson M, Carlbring P, Andersson G, Rozental A. A large-scale experiment on New Year’s resolutions: Approach-oriented goals are more successful than avoidance-oriented goals. PLoS One. 2020 Dec 9;15(12):e0234097. doi: 10.1371/journal.pone.0234097. PMID: 33296385; PMCID: PMC7725288.