ペットを飼うことと認知機能

私が中学から高校にかけて、家には小型犬がいました。

従姉弟が生後すぐに飼い始めたのですが、引っ越しなどが重なって私の家に引き取られたものです。

チェリーと名づけられたその犬に、私は何度も勝手な問わず語りをくりかえしたものです。

今日紹介する研究は、ペットを飼うことが50歳以上の人々の認知機能に与える影響について。

 

元論文はこちら→

Li Y, Wang W, Zhu L, et al. Pet Ownership, Living Alone, and Cognitive Decline Among Adults 50 Years and Older. JAMA Netw Open. 2023;6(12):e2349241. Published 2023 Dec 1. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.49241

 

論文の要点は次のとおりです。

・この研究は、50歳以上の成人のペットの飼育と認知機能の衰えとの関連を調査しました。

・研究対象は、2010年から2019年にかけての英国の縦断的コホート研究(English Longitudinal Study of Ageing)のデータを使用し、7945人の参加者を含みます。

・主な焦点は、語彙記憶と語彙流暢性の評価で、これらは認知機能の代理指標として使用されました。

・結果として、ペットを飼っている人は、そうでない人に比べて語彙記憶と語彙流暢性の衰えが遅いことが分かりました。この効果は、一人暮らしの高齢者に特に顕著でした。

・しかし、共に暮らす人がいるペットの飼い主と一人暮らしの非飼い主の間では、認知機能の衰えの速度に有意な差は見られませんでした。

 

共に暮らす人がいる場合は、ペットとの交流が希薄になるのでしょうか。

一人暮らしの人と変わりがないというのは、少し意外ですね。

  

この発見は、ペットが高齢者の精神的健康に及ぼす可能性のある肯定的な影響を示唆しています。

ペットとの交流が認知機能を刺激し、その衰えを遅らせる可能性があるわけですから。

特に、一人暮らしの高齢者の場合、ペットとの絆が社会的孤立感を軽減し、精神的なサポートを提供することが示唆されています。

これらの結果は、ペットが高齢者の生活の質を向上させる重要な役割を果たす可能性を浮き彫りにしています。