現代社会では、都市化が進む中で、私たちの日々の生活環境は大きく変化しています。
都市の喧騒と自然の静寂、この二つの極端な環境が私たちの精神的健康に与える影響について、面白い研究があります。
具体的には、交通騒音と鳥の鳴き声のサウンドスケープが、心理状態に及ぼす影響を探究したものです。
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Stobbe, E., Sundermann, J., Ascone, L., & Kühn, S. (2022). Birdsongs alleviate anxiety and paranoia in healthy participants. Scientific Reports, 12(1), 16414.
この研究では、録音された鳥の鳴き声と都市の騒音を用いて、それぞれの音が不安、うつ病、妄想症状、そして認知機能に与える影響を評価しました。
295人の参加者が、交通騒音(低多様性、高多様性)と鳥の鳴き声(低多様性、高多様性)の4つの条件のいずれかに6分間さらされました。
鳥の鳴き声は不安や妄想症状を有意に減少させる効果があることが示されました。
一方で、都市の騒音はうつ状態を増加させることがわかりました。
この研究の結果は、私たちの日常生活における環境音の重要性を浮き彫りにしています。
ただし、この研究にはいくつかの限界があります。
例えば、参加者の性別の偏りや、サウンドスケープの多様性の操作が完全に成功したわけではないこと、オンラインで行われたため認知タスクの管理が完全ではなかったことなどが挙げられています。