共感性が高い人はよく眠れる?

 

夜が更け、多くの人々が心地よい眠りにつく一方で、眠れないと悩む人々も少なくありません。

そんな睡眠に関連する、新たな視点を提供する研究がフィンランドから報告されています。

 

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Tolonen I, Saarinen A, Puttonen S, Kähönen M, Hintsanen M. High compassion predicts fewer sleep difficulties: A general population study with an 11-year follow-up. Brain Behav. 2023;13(10):e3165. doi:10.1002/brb3.3165

 

この研究は、人々の「共感性」という心の特性が、睡眠の質にどう影響するかを探っています。

この研究は「Young Finns Study」という長期研究に基づいています。

研究対象は3歳から18歳までのフィンランド人で、特定の年に共感性と睡眠の評価が行われた人々が選ばれました。

共感性は「Temperament and Character Inventory」という心理テストで評価され、睡眠の質は「Jenkins Sleep Scale」と「Maastricht Vital Exhaustion Questionnaire」で評価されました。

研究の結果、共感性が高いと評価された人々は一般的に良い睡眠を得る傾向にありました。

しかし、抑うつ症状を考慮に入れると、この関連性は消失します。

つまり、抑うつ症状がある場合、共感性が高いと評価されても必ずしも良い睡眠が得られるわけではないということです。

この研究が示すのは、共感性が高い人々が良い睡眠を得る傾向にあるという事実です。

共感性が高い人々は他にも健康的な生活習慣を持っている可能性があり、それが良い睡眠に寄与しているのかもしれません。

共感性と睡眠の質について、単純な因果関係にあるわけではないかも知れませんが、面白い切り口かなと思います。