心と体の連鎖:うつ症状と死亡率の考察

 

心の健康が身体に与える影響については多くの話がありますが、科学的な証拠が不足しているケースも少なくありません。

そんな中で、Zefeng Zhang博士たちの研究は、うつ症状と心血管疾患、さらには死亡率との深刻な関連性を明らかにしています。

この研究の優れた点は、特定の集団ではなく、多様で全国的に代表的なアメリカの成人集団を対象にしているところです。

 

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Zhang Z, Jackson SL, Gillespie C, Merritt R, Yang Q. Depressive Symptoms and Mortality Among US Adults. JAMA Netw Open. 2023 Oct 2;6(10):e2337011. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2023.37011. PMID: 37812418; PMCID: PMC10562940.

 

研究によると、アメリカ成人の約7.2%が中程度から重度のうつ症状を示しており、14.9%が軽度の症状を有していました。

これらの数字自体が驚きですが、さらに衝撃的なのは、うつ症状を持つと死亡率が高まるという点です。

具体的には、軽度のうつ症状を持つ人は全死因で35%、心血管疾患で49%も死亡率が高く、中程度から重度の症状を持つ人ではそれがさらに増加します。

この研究が採用したデータはNHANESと呼ばれるもので、非常に信頼性が高いとされています。

NHANESはアメリカの一般人口から健康と栄養に関するデータを収集するための調査で、研究の質を高めるためにも使われます。

この点も、この研究の信憑性を高めています。

では、このようなデータを知った私たちはどうすべきでしょうか?

この研究の結論は、うつ症状と心血管疾患、死亡率との関連を深く理解し、その上で対策を考える必要があると強調しています。

つまり、よく言われるように、心の健康は身体の健康に直結しているのです。