沖縄科学技術大学院大学(OIST)の名前をちょっとでも見かけると、やっぱり嬉しくなります。
OISTの中の研究者たちはそんな気はないかも知れませんが、やっぱりウチナーンチュにとって誇らしいのです。
その論文が、Natureに掲載されたとなれば、さらにテンションがあがります。
元論文はこちら→
Koch, J., Menon, K., Cuestas, E. et al. A quantum engine in the BEC–BCS crossover. Nature 621, 723–727 (2023). https://doi.org/10.1038/s41586-023-06469-8
OISTの研究チームは、ドイツのカイザースラウテルン・ランダウ大学やシュトゥットガルト大学と共同で、量子力学の原理を活用した新型の「量子エンジン」を設計・製作したのだそうです。
このエンジンは、従来の燃料燃焼によるエネルギー生成ではなく、量子力学の原理を用いて動力を生み出します。
具体的には、粒子の量子的性質における変化を利用してエネルギーを生成するのです。
量子エンジンは、ボソンとフェルミオンと呼ばれる二つの異なる種類の粒子の量子的性質を活用します。
超低温での量子効果を利用して、ボソンをフェルミオンに変化させ、そのエネルギー差をエンジンの動力として利用するのです。
このエンジンは非常に効率が高く、最大で25%の効率向上が可能であるとされています。
この研究は、急成長している量子テクノロジー分野において、さらなる進展の可能性を秘めています。
しかし、自動車での応用にはまだ多くの課題があり、特に低温での運用が必要であるため、そのエネルギー要求が高いという問題が指摘されています。
量子力学が日常生活にこんな形で忍び寄ってくるとは、まるでSF映画の世界のようです。
量子エンジンが実用化されたら、燃料の消費が減り、CO2排出も削減されるでしょう。
しかし、その前に解決しなければならない課題も多いです。
例えば、超低温でしか動かないというのが、それです。
量子コンピュータが注目されている今、量子エンジンもその一翼を担うのか、それとも「面白い実験だったね」という話で終わるのか。
どちらにせよ、科学の進歩は止まりません。
そしてその進歩が、私たちの未来をどのように変えていくのか、その過程を追っていくのも、実はとても楽しいことですよね。