The Beatles “Now And Then”

 

ついに、The Beatlesの「最後の新曲」がリリースされました。

 

 

昨日は朝から何度も何度も、その曲「Now And Then」を聞いていました。

「Now And Then」は、ジョン・レノンが1979年にデモとして録音したものを元に、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターが、1995年に一度、一緒に取りかかっていたものです。

それは、いわゆる「アンソロジー・セッション」として知られたプロジェクトでした。

ドキュメンタリー・プロジェクト「ザ・ビートルズ・アンソロジー」の一環として、ジョン・レノンが生前に残したデモ・テープを基に新曲を制作した際のレコーディングの様子を指します。

アンソロジー・セッションは、ビートルズの解散後に初めて3人が共同で音楽を制作したことで話題となりましたが、その裏には様々な苦労や葛藤がありました。

例えば、ジョンのデモ・テープは音質が悪く、当時の技術ではノイズ除去や音声分離が困難だったため、完成までに時間がかかりました。

また、3人の音楽性や意見の違いも問題となり、特にジョージはポールのリーダーシップに反発し、一時はセッションをボイコットすると言い出したこともありました。

しかし、3人はビートルズとしての絆やジョンへの敬意を持って、セッションを続けました。

プロデューサーにジェフ・リンを迎え、ジョンのデモ・テープに自分たちのパートを重ねて、新曲を完成させました。

それが「Real Love」と「Free as a Bird」です。

この2曲は、ビートルズのファンや批評家から高い評価を受け、チャートでも上位にランクインしました。

アンソロジー・セッションは、ビートルズの歴史において、最後の奇跡とも言える出来事だったのです。

 

今回の新曲「 Now And Then」は、アンソロジー・セッションと密接に関係しています。

3人はこの曲にも取り掛かったのですが、音質の問題や曲の完成度の低さなどの理由でお蔵入りとなっていました。

しかし、2021年にピーター・ジャクソンが監督したドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ:Get Back』の制作過程で、最新の技術を使ってジョンのボーカルとピアノの音を分離することに成功しました。

そのため「 Now And Then」のミックスを再開することが可能になり、ポールとリンゴがジョンの声に合わせて新たに演奏を録音したのでした。

そして、2023年11月2日に、ビートルズの最後の新曲としてリリースされたのです。

この曲と両A面で発売されたのが、ビートルズのデビュー・シングル「ラヴ・ミー・ドゥ」でしたから、さらに感動です。

最初と最後。まさしく「Now And Then」(昔も今も)ですね。

 

さて、ジョン・レノンは43年前、ジョージ・ハリスンは22年前に亡くなっています。

では、ジョージはこの曲にどのように参加しているのでしょう?

「Now And Then」の間奏では、ジョージの演奏を彷彿とさせるスライドギターソロが入っています。

しかし、ジョージのスライドギターが最終バージョンに含まれているかどうかについては、情報源からは明確には分かりませんでした。

ポールがジョージへのトリビュートとしてスライドギターソロを追加したと説明していますから、ジョージ本人によるものではないかも知れません。

しかし、1995年の「アンソロジー・セッション」の時に、ジョージが録音したエレキ・ギターとアコースティック・ギターのパートが含まれているのは確かなようです。

 

とにかく、「奇跡ともいえる出来事」に再び遭遇することができました。

「ビートルズの最後の曲」にリアルタイムで遭遇した幸福を感じずにはいられません。