「ケーニヒスベルクの橋の問題」
この名前を聞いたことがある方もいるかもしれませんね。
ケーニヒスベルクとは、かつて18世紀の初めにプロイセン王国に実在した、町の名前です。
そして、この問題とは、数学の世界で有名な問題です。
当時、ケーニヒスベルクは、プレーゲル川に架かる7つの橋で知られていました。
町の人々は「7本の橋を1回ずつ渡って元の場所に戻れるか」という話題で盛り上がっていました。要するに、同じ橋を2回渡ってはいけないわけです。
町の人々は、おそらく実際に歩いたり走ったりして、楽しい時間を過ごしていたのでしょう。
もしかしたら、「成功者には賞金を出す」と申し出た人も現れたかも知れませんね。
この問題を言い換えれば、「一筆書きができるか?」ということになります。
この問題は、高名な数学者レオンハルト・オイラーによって取り組まれました。
オイラーは、この問題をグラフ理論に置き換えて考え、以下のように解きました。
1. 7つの橋を辺、橋のつなぐ地域を頂点としてグラフを描く。
2. すべての頂点の次数(頂点につながっている辺の数)が偶数であれば、一筆書きが可能。
3. 次数が奇数である頂点の数が2で、残りの頂点の次数が全て偶数であれば、一筆書きが可能。
この結果、ケーニヒスベルクの橋の問題は一筆書きができないことが証明されたのでした。
一筆書きの理論は、三角形や四角形など一筆書き可能な図形と、十字やアスタリスクなど一筆書きできない図形を分類します。
この理論は、ケーニヒスベルクの橋の問題だけでなく、今では多岐にわたる分野で応用されています。
ケーニヒスベルクの橋の問題は、単なる遊びの問題から数学の新しい分野(グラフ理論や位相幾何学的な発想の起源)を切り開いた素晴らしい例と言えます。
数学は、時に厳密で、時に美しい。
ケーニヒスベルクの橋の問題を解いてみると、その両方の側面を楽しむことができます。
当時の町の人々は、橋を渡るたびに、新しい発見があったかも知れませんね。