代謝の真実:エネルギー管理と体重減少の誤解

 

人間の体は、「代謝」を通じて生命活動を維持しています。

運動は代謝を促進し、体重減少を助けると考えられていますが、これは完全な誤解です。

カロリー消費の大部分は、心拍や細胞の成長などの生命維持活動、つまり基礎代謝によるものです。

そのため、運動だけで大量のカロリーを燃焼することは難しいのです。

例えば、ネットで「運動別、消費カロリー比較表」を検索してみてください。

60Kgの人が1時間スロージョギングを行った場合、約350 kcalしか消費されないという結果に愕然とするものです。1時間汗をかいて、バニラアイス1個分です。

さらに、同じ体格の人でも、代謝には個々の差があります。代謝は生涯を通じて変化し、主に遺伝によるものだと考えられています。

つまり、重要なポイントは、代謝の目的は「体重の管理」ではなく、「エネルギーの管理」であるということです。

体重減少に「代謝を上げる」というフレーズを使うのは、体重減少を目指す風潮に基づいた戦略で、実際の事実を反映していません。

例として、車の燃料システムを思い浮かべてみてください。

車は燃料を効率的に使い、エネルギーを最大限に引き出すシステムを持っています。

しかし、その目的は燃料を「大量に燃やす」ことではなく、車を動かすための「エネルギーを管理」することです。「効率的に燃やす」と言い換えてもいいでしょう。

少ない燃料で長距離を走るエンジンこそが優れていると言えます。

これと同様に、人間の体もエネルギーを効率的に使い、生命活動を維持するシステムという点で非常に良く似ています。

運動は代謝を「高める」ものではなく、エネルギーを効率的に使用する部分を補助するものです。

運動は体重を減らす短期的手段としてではなく、健康な生活を送るための長期戦略として考えてほしいのです。