中高年の男性の中には、テストステロンという男性ホルモンが不足し、体力の低下や性欲の減退、筋肉の衰えといった症状が出ることがあります。
これを低テストステロン症と呼びます。
この症状を改善するためには、テストステロンを補う治療が必要となることがあります。
しかし、この治療が心臓や血管にどのような影響を及ぼすかは、これまで詳しく調べられていませんでした。
最近行われた研究では、心臓病や心臓に負担がかかるリスクが高い中高年の男性に対して、テストステロンを補う治療が心臓や血管にどのような影響を及ぼすかを調査しました。
この研究には、45歳から80歳までの約5200人の男性が参加し、テストステロンを補う薬と、効果のない偽の薬(プラセボ)を比較しました。
その結果、テストステロンを補う治療は、心臓や血管に対する影響は偽の薬と比べても劣っていないことがわかりました。
また、前立腺がんの発生率についても、テストステロンを補う治療と偽の薬とで大きな違いはありませんでした。
ただし、テストステロンを補う治療を受けた人の中には、前立腺がんのマーカーとされる前立腺特異抗原(PSA)の値が上昇する人がいました。
これらの結果から、心臓病や心臓に負担がかかるリスクが高い中高年の男性でも、テストステロンを補う治療は心臓や血管に対して安全であると言えそうです。
しかし、この研究結果がすべての人に当てはまるわけではありません。
自分の体調やリスクを考慮し、医師と相談しながら最適な治療法を選ぶことが大切だと、この動画では包括しています。
ちなみに、低テストステロン症を疑う方は、専門的には泌尿器科(男性更年期専門外来やメンズヘルス外来)となります。