眠りの質にこだわらないこと

 

言うまでもなく、眠りは大切です。

だからこそ、眠りが足りないと、元気がなくなった気分になりますし、途方に暮れてしまう気になります。

試しに、ネットで「眠り」を検索すれば、完璧な眠りを得るための記事が山ほど見つかります。

それらは新しいガジェットや高級な目覚まし時計、ブルーライト避けといったアドバイスに溢れていて、私たちの眠り方を間違っているとさえ言い切っているものまであります。

眠りが足りないと命が縮む、病気になる、というメッセージが広まる一方、大人に推奨される7から8時間の睡眠時間はあくまで平均的な数値に過ぎません。

必要な睡眠時間は人によって異なるのは当たり前です。8時間必要な人もいれば、6時間で十分な人もいるのです。

しかし、この過剰なメッセージは、睡眠に問題を抱えている人々にとって逆効果になっています。

完璧な眠りを追求するあまり、「オルソソムニア」という症状を引き起こし、更なる睡眠問題を引き起こすこともあるのです。

「オルソソムニア」とは、完璧な眠りを追求するあまりに起こる症状で、睡眠データに異常に固執し、それが逆に睡眠問題を引き起こす現象です。

これは睡眠トラッキングデバイスなどが普及した結果、情報過多になり、自分の眠りへの過剰な期待感がストレスとなって、結果として眠りの質を下げてしまう状況を指します。

(私もアップルウォッチを購入した当初は面白がってモニタリングしていましたが、やめました。)

そのため、専門家たちは、睡眠時間に固執するのをやめることを推奨しています。

睡眠の質の判断は、自身が日中元気に過ごせているか、そして必要なら再び眠りにつけるかをチェックするだけで足りるのです。

「眠れない」という人がよくやりがちなのが「薬が欲しい」と言って病院を受診することです。「眠り」を欲するべきが、「薬」を欲しているので、まず第一歩を間違えています。

アメリカの睡眠医学会が不眠症に対して推奨しているのは、薬を使わずに行う認知行動療法(CBT)です。

この療法は、患者の認知と行動のパターンを変えることで、不眠症を改善するというものです。

具体的には、誤った睡眠に関する信念や態度を改善し、不適切な睡眠習慣を修正し、リラクゼーション技法を教え、睡眠に対するストレスや不安を減らすことを目指します。

この療法は一般的に6~8週間で効果が現れ、薬物療法に比べて再発率が低いとされています。

沖縄県にも日本睡眠学会専門医の先生がいらっしゃいます。

「沖縄県 睡眠学会専門医」と検索すればわかりますから、そこに連絡をして相談することをおすすめします。