私がマンガ文化で育ってきたというのは大きな理由になります。こういう本に思わず食指が動くのです。
とは言っても、何度も「マンガでわかる…」のタイトルに騙されてきた経験もあります。
意外に思われるでしょうが「マンガでわかる」は、初学者向けの医学関係の本によく見られるタイトルなのでした。
しかし、「マンガが少ない…」とがっかりしたことは数知れず。最初の数ページにマンガがあって、その後はずらっと説明文ばかりというのが多く、「騙された」という思いと「そりゃ、マンガで説明できないよな」という妙な納得感が入り混じるのでした。
しかし、この「まんがで読破」シリーズは、期待通りで面白いのです。
見事にデカルトの「方法序説」について、マンガで説明してくれています。
たとえば、デカルトは「正しく理性を導く方法」を編み出しました。
次の四つの規則です。
- 真と認めたものだけに基づく(明証性の規則)
- 問題を小さな部分に分割する(分析の規則)
- より単純で認識しやすいものから始め、少しずつ複雑なものに進む(統合の規則)
- 関連する事柄をすべて列挙する(枚挙の規則)
それを、登場キャラクターの博士と2人の学生さんとの会話で説明しています。
ほかにもこの本では、デカルトが生きた時代の背景や哲学体系の流れなどの解説があったり、わかりやすく理解しやすいようにと工夫されていました。
「我思う、ゆえに我あり」に至る経緯については丁寧に描かれていたと思います。
取り扱っているテーマがデカルトの「方法序説」ですから、それ自体に批判もありますし、その批判から生まれた哲学体系も多く存在しています。
単なる哲学用語の説明にとどまらずにストーリーを描いてみせたという点でも、わかりやすかったです。