ビートルズに限らず、ファンの心理はだいたい似たようなものだと思うのですが、「ビートルズ」と名がついただけで、とりあえず覗いてみるというのを、よくします。
「僕はビートルズ」かわぐちかいじ画×藤井哲夫原作
少し前に「イエスタデイ」という映画がありました。
原因不明の世界規模の大停電が起きた日、ビートルズが存在していない世界になっていて、主人公である売れないシンガーソングライターだけがビートルズを覚えているというファンタジーでした。
このマンガはタイムスリップものですが、第三者がビートルズに成りきったらという発想は類似しています。
「2010年から1961年にタイムスリップした、ビートルズのコピーバンド。自分たちのきた時代がビートルズのデビュー前年だと知ったメンバーは、ビートルズになり代わることを決意する。“もし、僕がビートルズより先に『イエスタデイ』を発表したら、僕はビートルズになれるかもしれない”」
ビートルズにまつわる小ネタがあちこちに散りばめられているので、ファンはその度にニンマリするしかけです。
東京オリンピックを3年後に控えた東京の様子を重ねつつ、ビートルズ本家との対決をクライマックスにした、読み応えのあるマンガでした。
ジョンのリッケンバッカーやポールのバイオリンベース、ジョージのグレッチなど、初期のビートルズが愛用していた楽器の描写も、かわぐちかいじさんの緻密な筆致で見ごたえがあります。
最初は1巻だけの試し読みのつもりでしたが、最後まで読み切ってしまいました。
いやあ、展開がうまいんだよなあ。ついつい読み切ってしまうよなあ。