最近読んだ本の中でバツグンの吸引力でした。
本の帯にある言葉が全てを物語っていましたので、紹介しますね。
父は他界、弟はダウン症
母は車いすユーザー、からの
コロナ禍に生死をさまよう大手術
間に祖父の葬式が挟まって
ついには、祖母がタイムスリップ
―残された長女(作家)にすべてのタスクは託された
次々におそいかかる「もうあかんわ」なラインナップ
なのにどうして
こんなに面白い文章が出来上がってしまうのか
読んでる側はいったいなんで
こんなに救われてしまうのか!?
3月10日から4月15日までの
岸田奈美のnoteに書かれた泣けて笑える祈りの日々
「人生はひとりで抱え込めば悲劇だが、
人に語って笑わせれば喜劇だ」
放った言葉を本人の手で見事に体現した
読後、拍手喝采のエッセイです。
「ユーモアとは、にもかかわらず笑うこと」と語ったのは、死生学の哲学者アルフォンス・デーケン氏ですが、氏の講演で印象的だったのは、人は自ら笑うだけでなく、笑わせようとする生き物であると述べていたことでした。
ユーモアとジョークは違う。ユーモアは思いやりに満ちていて、どんな環境でも和やかな雰囲気を作り出すことができるものだ。
「にもかかわらず笑うこと」というのは、自分が苦しんでいるにもかかわらず、相手に対する思いやりとして笑いを示すということ。
この「もうあかんわ日記」はまさしくそれを体現した本なのだと思いました。
文体のリズムが、さくらももこさんのエッセイに似て歯切れよく読みやすいです。
この本は皆さんにかなりおススメです。