今日(正確に言うと先週末に?)NAHAマラソンのナンバーカード通知書が届いていました。
いつもの「太陽と海とジョガーの祭典」のロゴと「令和初」であることがひと目でわかる華やかなデザインです。
この封筒が届くと、一気にNAHAマラソン・モードに入る気がします。
手にとって外側から眺めて見たり、中の書類をとってよく読んだり…。
ドキドキというか、やはりワクワクしてきます。
ところで、今、ミヒャエル・エンデの名作「モモ」を読み返しているのですが、道路掃除夫ベッポの言葉で特に心に響いた箇所があったので紹介しますね。
少し長いのですが書き出してみます。(「モモ」(岩波少年文庫 大島かおり訳)より)
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「なあ、モモ。」とベッポはたとえばこんなふうにはじめます。「とっても長い道路をうけもつことがあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。」
しばらく口をつぐんで、じっとまえのほうを見ていますが、やがてまた続けます。
「そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、いつ見てものこりの道路はちっともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息がきれて、動けなくなってしまう。道路はまだ残っているのにな。こういうやり方は、いかんのだ。」
ここでしばらく考えこみます。それからようやく、さきをつづけます。
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」
またひと休みして、考えこみ、それから、
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな。たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」
そしてまたまた長い休みをとってから、
「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶおわっとる。どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからんし、息もきれてない。」
ベッポはひとりうなずいて、こうむすびます。
「これがだいじなんだ。」
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ここまで。
ベッポの言いたいことはよくわかります。
これはマラソンの話に通じるだけでなく、それこそ「今ここ」の大切さを説いている言葉です。
(「モモ」は、大人になった今読み返してみて、すごく勉強になります。)
マラソンだけでなく、私たちは「いちどにぜんぶのこと」を考えてしまいがちになります。
仕事のこと、人間関係のこと、お金のこと、やらなければならないことは、それこそ山のようにたくさんあります。
けれども、「いちどにぜんぶのこと」が私たちにできるわけがありません。
ベッポが言うように「つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、いつもただつぎのことだけ」を考えることが、だいじです。
これって「マインドフルネス」の極意に通ずるのじゃないかと思うのです。