先日、娘が「人間」っていう言葉の意味わかる?と訊いてきました。
「ヒトでしょ?」と迷いなく答えました。
その答えを聞いて、娘の顔がニタ~っとなりました。
「ん?じゃあ、もっと哲学的に?それとも詩的に説明せいって?」
「いやいや、そうじゃなくて、広辞苑で調べてみたらさ。友達と『まさか!』ってなったわけ。」
ためしに手元にあった電子辞書で広辞苑(第六版)を開いてみました。
にん~げん【人間】
① 人の住む所。世の中。世間。じんかん。
② (社会的存在として人格を中心に考えた)ひと。また、その全体。⇨人類。
③ 人物。ひとがら。「ーができている」
思わず「あれ?」と声をあげました。
「ね? 1番最初に、なんか場所とか世の中のことを言っているんだよ。こんな使い方したことないよね。」
「う~ん。人と人の間柄を重視した説明かなあ。ちょっと待って。別の国語辞典を調べてみよう。」
小学館の精選版日本国語大辞典を調べてみました。
にん~げん【人間】
一《名》
① 仏語。六道の一つ。人の住む界域。人間界。人界。人間道。⇨じんかん。
*観智院本三宝絵(984)下
「人間はくさくけがらはし。まさによき香をたくべし」
[法華経-法師品]
② 人界に住むもの。ひと。人類。
*今昔(1120頃か)五
「天人は目不瞬かず、人間は目瞬く」
③ 人倫の道を堅持する生真面目な人。堅物。
*雑俳・続折句袋(1780)
「人間で一生仕廻ふ不器量さ」
④ 見どころのある人。人物。人柄。
「やっぱり1番は人の住むところかあ。これを見ると、仏教用語からきてるのかな? おもしろいね。」
そういえばと思って、現代文を多く採録している三省堂の「現代新国語辞典(第五版)」には、こうありました。
にんげん【人間】
〈名〉① [社会で生活している]ひと。「ーらしい生活・ーばなれしている・ー生身のー。まじめー。ーのくず。」
② 人がら。人物、「ーができている・ーのうつわが大きい」
さすがに、前の2冊とは違ってより現実に近い使い方を載せているようです。
小学〜中学時代は国語辞典好きだったのに、今にいたるまで「人間」って引こうと思わなかったのでしょうか。始めて知りました。