私は茨木のり子さんの詩が大好きで、このブログにも何度かご紹介してきました。
その茨木のり子さんが、山之口獏さんの詩と生涯を、さわやかな文体で紹介してくれている本です。
山之口獏さんの生活ぶりをなぞりながら、獏さんの詩がつづきます。
ですから、読者は詩が生まれた背景を知ることになり、さらに獏さんが身近に感じられるのです。
獏さんの結婚願望が頂点に達した時の詩が、有名な「求婚の広告」です。
求婚の広告
一日もはやく私は結婚したいのです
結婚さえすれば
私は人一倍生きていたくなるでしょう
かように私は面白い男であると私もおもうのです
面白い男と面白く暮らしたくなって
私をおっとにしたくなって
せんちめんたるになっている女はそこらにいませんか
さっさと来て呉れませんか女よ
見えもしない風を見ているかのように
どの女があなたであるかは知らないが
あなたを
私は待ち侘びているのです
結婚したくてたまらない気持ちを獏さんがあまりにも率直に表明するものですから、友人たちはついに放っておけなくなりました。
獏さんのためにお見合いを組んでくれたそうです。
その相手の女性が、獏さんのお嫁さんになりました。
この本は、茨木のり子さんの獏さんに対する愛情があふれるような本です。
おすすめです。