「社会彫刻」

ドイツの前衛芸術家ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)の作品(プロジェクト)として「7000本の樫の木」というものがあります。

ボイスの構想は、7000個の玄武岩と樫の木を対にして、カッセル市全域に植えるというものでした。

つまり、最初はただの無機質な石(死を意味する)だったものが、生ある7000本の樫の木へと変身するというものです。

多くのボランティアが関わり、この作品(プロジェクト)の完成までに5年かかったそうです。

最後の1本が植えられた時には、すでにヨーゼフ・ボイスはこの世にいませんでした。

 

ボイスによると「社会彫刻」とは、社会に生きる一人一人が創造性を用いて、自分で考え、自分で決定し、自分で行動し、社会を作り上げていくべきだという考えです。

 

ボイスは、東西が分裂していたドイツの状況下で、体制やお金ではなく、人々の創造性こそが社会を形成するとしました。

創造性とは、単に芸術作品を作るときだけに使われるものではなく、誰もが持っている能力であるからこそ、「誰もが芸術家である」と主張しました。

彼はこう述べています。

「人間の行う活動は労働あれ、何であれ、すべて芸術であり、すべての人間は芸術家である」

 

社会は一人ひとりが創造性をもってつくるべきだとする「社会彫刻」という考えは、未来の姿をデザインし、今の自分の仕事と結びつける「時間の彫刻」でもあります。

 

ボイスが今の世の中にいたら、どんな活動をしていたことでしょう。

 

 

 

 

 

 

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