不安によって症状が引き起こされることがあるのはよく知られたことだと思います。
不安や恐怖は身体の変調をきたして、時に疾患を生じさせることがあります。
もちろん、不安を解消させないと症状を改善させないばかりか悪化させてしまうことがあります。
気を付けないといけないのは、診察室での医師と患者との会話はお互いに対して影響を与える力があることです。
つまり、その力はよい方向にも悪い方向にも向かってしまいます。
医師が何気なく言った言葉が、患者の心を刺してしまうこともあります。
恐らく多くの腎臓専門医が言わないように気を付けている言葉があります。
「このままだと透析になりますよ。」
意外でしょうが、そういう「脅し」は専門家はしないと思います。
医師は事実を知っているのではなく、可能性を知っているだけだからです。
それに対しては謙虚でなければいけません。
患者の不安に対して医師ができることは、明瞭なコミュニケーションを親身になってとることぐらいしかできないと思います。
不確実な要素をできるだけ減らしていくことが専門家としての医師の仕事です。