「オトナの一休さん」

 

5年ほど前に「オトナの一休さん」というアニメがありました。かなり変わったアニメです。

アニメの冒頭でこんなナレーションが入ります。

「史実の一休さんはとんでもないお坊さんだった。これは禅宗の高僧、一休宗純の物語である」

大徳寺の記録などに基づいた史実の一休宗純を描いていて、現存する文献を典拠としているそうですが、セリフなどは現代風にアレンジしてありました。

禅宗の高僧と言ったら、澤木興道禅師のように何を言い出すか、何をしでかすかわからないようなイメージがあります。そして、この一休禅師はそれ以上に破天荒です。

そのアニメをコミカライズした本があったんですね。

 

例えば、「喝09 ビジネス坊主はニセ坊主」のお話。

一休さんの兄弟子が、一般人を相手に印可状(師匠が弟子に与える悟りの証明書)を有料で提供するというビジネスを思いつきました。それを聞いて怒った一休さんは刀を携え、商業の街・堺に乗り込んでいきます。そして、こう言い放ちます。

「禅とは、文字や言葉で表せぬ真理を心と心で伝えるもの。物を売って集めたお金で生かされた禅など、もはや禅ではない!貴様はこの朱太刀のように一見立派な僧に見せているが、中身は木の棒。ただのニセ坊主なのだ!何物も生かすことも殺すこともできん!」

禅僧に似つかわしくない朱太刀。一休宗純の肖像画では、この朱太刀が描かれた画が量産された時期があったそうです。

とにかく、一休さんに対する今までのイメージがぶち壊されるアニメでした。

またいつかアニメ「オトナの一休さん」を再放送してくれないものでしょうか。