医療については、なかなか「ついで」が通りにくい世界だと思います。
「昨日の夜から熱が出て、今日は朝から休みをもらって病院に来た。『ついでに』血圧も診てもらいたい。健診でも高いって言われたことあるし。」
「風邪をひいたので、病院で薬をもらいに来た。『ついでに』タンパク尿を診てもらいたい」
上の例なら、熱が出ているのならば、身体に負担がかかっている状態ですから、血圧が普段より高めになっているのは当然ですし、この時「診療所で測定した血圧」は当てにならないのです。
高血圧は、日常生活の過ごし方に極めて密接な関係がありますから、「ついでに」ではなく、じっくりと取り組む必要があります。
また、下の例では、やはり体調の良い時に尿検査をして、普段どの程度のタンパク尿が出ているのかを確認する必要があります。
「普段は受診できないから、ついでに診てくれたら、ありがたい」
それに応えて「風邪などと違って、こうすれば治るというものはないのですよ。」と説明すると、「え?そうなの?」と驚かれることがあります。
また、例えば胸痛や腹痛などの症状があって、本人も検査の必要があるとわかっているのに、「来月、特定健診を受けようと思っているから、それまで待っていよう」という方もいます。
健診の「ついでに」症状の原因の検査をしようとする方です。
症状がある時は、健診まで待たずにすぐに受診してください。
健診の検査項目では原因を探ることができないばかりか、すぐに処置をしなければならない病気だとしたら、治療のタイミングを逸してしまうことにもなりかねません。
「ついでに」ではなく、目的を持って受診してほしいのです。ご自身の体のことですから、億劫がらずにお願いしたいと思います。