「自分に正直になる」というのは、結構たいへんなことです。
「ありのまま」でいることに反対する人はいないでしょうが、自分のふだんの行動をどんな時でも変えずにいるというのは、とても難しいことです。
「誰かがありのままのあなたを嫌ったとしても、気にする必要はない」
それは真実だと思います。人のことなど気にする必要なんてありません。
けれども「ありのままの私」を最も嫌っているのは、自分ということもありえます。
例えば、「ありのままの私」と「本当の私」が、違うものだと気づいている場合です。
今の自分にとって「ありのままの私」は、きっと何とかしたい「どうしようもない私」というわけです。
そういう場合、「本当の私」は、自分にも伸びしろというものがあって、成長していって、やがてたどりついてくれる、誰にさらけ出しても構わない「私」のことです。
必要なのは、きっと、どんな「私」であろうとも、微笑みで包み込んでしまうこと。
非現実的な期待などせずに、些細なことは水に流してしまうこと。
何しろどんな人間も「私」より大きな器を持つことはできないのですから。
その時に初めて「自分に正直になる」ことができるのだと思います。