久しぶりにTEDからです。
まずはサイトにあった、演者の女性の紹介です。
「ヘザー・ラニエの娘フィオナは、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群という遺伝子異常による先天性疾患を患っているため、発達に遅れがあります。でも彼女は、悲劇のヒロインだとか、天使のように可憐だとか、似たような状況の子供たちに向けられるステレオタイプには当てはまりません。まれな症状の女の子を育てるという美しくも複雑で、喜びに溢れていながらも困難な道のりを語るこのトークで、ラニエは人生にとって何が「良い」もので、何が「悪い」ものかという私たちの思い込みに疑問を呈します。普通ではないと思われる状況を克服することに囚われるのではなく、あるがままの人生をそのまま受け入れるべきだ、と彼女は呼びかけます。」
タイトルに惹かれて視聴してみましたが、期待以上に共感しました。
演者のヘザー・ラニエさんの考える「ありのままの人生」は、もしかしたら誰もが考えている真理なのかも知れませんが、それを言葉で表現したことで、私に再発見の興奮を与えてくれました。
彼女は講演の中でこう言っています。
「物事の良い側面を見ようという話でもなければ事態を静観しようという話でもありません。 教訓は往々にして状況に勝手な判断でレッテルを貼り、具体的な意味を持たせてしまいがちだということです。でも現実はずっと流動的です。物事の良し悪しは、しばしば思い込みに過ぎないのです。」
「この寓話が私に警告してくれたのは物事の良し悪しにしがみついてしまうと状況を真に見極められなくなるということ。しがみつく手を緩めて進めばもっと多くを学べますし、開かれた考えで好奇心を持って進むことができます。」
寓話とは、下のようなものでした。
昔の寓話に馬を失った農民の話があります。隣人がやって来て言います。
「ああ 残念だったね」
すると農民は言います。
「良いか悪いかは分からない」
数日が経って、その馬が7頭の野生の馬を連れて戻ってきます。
隣人がやって来て言います。
「良かったじゃないか!」
農民は肩をすくめて言います。
「良いか悪いかは分からない」
翌日、農民の息子が野生の馬に乗って出かけると馬から落ちて脚を折ってしまいます。
隣人がやって来て言います。
「ああ 運が悪かったね」
すると農民は言います。
「良いか悪いかは分からない」
やがて、役人がやって来て家々を回り、軍隊に招集できる若者を探して回ります。
農民の息子の脚が折れているのを見て役人は通り過ぎていきます。
隣人がやって来て言います。
「運が良かったなあ!」
すると農民は言います。
「良いか悪いかは分からない」
そうですね。「人間万事塞翁が馬」のことわざです。
彼女の講演は、「良し悪し」にとらわれずに流動的な事態に、どう向き合い取り組んでいくかを説いています。
18分間と少し長めですが、ぜひご覧ください。