小川未明の「夏とおじいさん」が、最近青空文庫に掲載されました。
こちら → 「夏とおじいさん」
こんなあらすじです。
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気難しくてお金に厳しいおじいさんが、病気になって不自由になりました。
病気になったら雇い人たちにも少しは優しくなるだろうと思っていたら、とんでもありません。さらに気難しさが助長していったのでした。
暑い夏になると、ハエがおじいさんの頭の上に止まります。はたくと逃げる。しばらくするとまた止まる。なんとも腹立たしい。この腹立たしさを雇い人たちにぶつけました。
ある日、おじいさんはビルの5階に移り住むことにしました。そこは風が吹いて涼しく、ハエもこない。なんとも快適です。けれども、困ったのは雇い人達です。呼びつけられれば5階のおじいさんのところまで行って世話をしなければなりません。
ところが、ビルのエレベーターが故障してしまいました。雇い人達は示し合わせて、これを機会におじいさんの世話を控えるようにします。
おじいさんは最初は激怒するのですが、やがて気づいたのでした。
「そうだ。おれは、もっと謙遜にならなければならない。そして、人を信じなければならない。この世の中は、おたがいに助け合わなければならぬところだ。」と。
お腹がすくとカゴにお金を入れて5階のマドから地面へとおろしました。
そのカゴの中にはこんなメモ書きを添えました。
「もし、このお金で、パンを買って、この中へいれてくださればしあわせです。そして、あなたの手間賃もお引きください。」
しばらくしてカゴを引き上げると、そこにはやわらかなパンがはいっていました。そして、釣り銭もちゃんと入っていたのでした。
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小川未明(おがわびめいと読みます)の童話は、どれも短くて読みやすいと思います。
おじいさんがどうしてこう悟りに近い変化が得られたのか。
そのへんは童話ということもあってか、詳しくは描かれていませんが、大人の私はそこがとても知りたいところです。