八風吹けども動ぜず、天辺の月
禅語では、人の心を揺さぶる「風」には8つあると言います。
人と人との関わりの中で、心を惑わす8つの事柄です。
その8つを2つずつ並べてみますね。
「利」と「哀」
「毀」と「誉」
「称」と「譏」
「苦」と「楽」
「利」とは、意にかなうこと。「哀」とは、意に反すること。
「毀」とは、陰でけなすこと。「誉」とは陰でほめること。
「称」とは、目の前でほめること。「譏」とは、目の前でそしること。
「苦」とは、心身を苦しめること、「楽」とは、心身を喜ばすこと。
「快」と「苦」がどちらも煩悩であるという話を初めて聞いたとき、一瞬とまどいながらもなるほどと納得したことがあります。
初めは「快」のどこが煩悩なのだと思ったのですが、自己満足を求めて欲得に走り「もっともっと」と自己中心的な生き方に終始すれば、その先は地獄です。
この4種類の事柄も、全く相反する「風」となって人の心をゆらしていくものでしょう。
相反するからこそ揺れ幅が大きいとも言えます。
どんなに8つの強風に煽られようとも、天辺の月のように自分を見失わずに生きていたい。
人々の褒め言葉、悪口に翻弄されずに、平常心、信念を持って生きていこうとする言葉です。