この歳になると(!)自分の孤独については、あまり特別な扱いをしなくなります。
(と言っても、私を古くから知る人は、どちらかと言うと独りが楽というのを知っているので、「あなたの場合、歳とは関係ないでしょ」と指摘されてしまいそうですが。)
渡辺和子さんは、その著書の中で、孤独についてこう語っていました。
「否が応でも襲ってくる孤独感があったとしたならば、それをしっかり受け止めて、闇がもったいないという感覚で、この孤独を味わえる間味わって、安易なものでこわさないでおいてください。そうすると人間が深くなります。」
独りでいて、特に沈黙を続けていると、内省が深まっていきます。
それは、例えば、日が暮れた公園をウォーキングする時の、心の静寂に似ています。
瞑想に近い感覚と言ってもいいかも知れません。
「闇がもったいない」という表現は、言い得て妙だと感心しました。
この場合の闇は、忌み嫌われる闇ではなく、私たち人間の、いつもは光が届かない心の深淵のことを言っているのでしょう。
泉の深い深いところにある底を、安易にかき混ぜて細かい泥の粒子で濁らせてしまわないように、じっと息をこらえて潜っていく感覚です。
人間が深くなる実感は、まだありませんが、気持ちは落ち着いてきます。