コーヒーとお茶の適量が認知力を守る?

 

コーヒーやお茶を適度に飲むことが、認知症などの認知障害のリスクを減少させる可能性があるという報告がありました。

認知障害は個人や医療システムに大きな負担をかけており、現在の治療薬はこれらの障害を治療する可能性に限界があります。

そのため、食生活を含む管理可能なリスク要因に注目が集まっています。

 

元論文はこちら→

Zhu Y, Hu CX, Liu X, Zhu RX, Wang BQ. Moderate coffee or tea consumption decreased the risk of cognitive disorders: an updated dose-response meta-analysis [published online ahead of print, 2023 Jul 31]. Nutr Rev. 2023;nuad089. doi:10.1093/nutrit/nuad089

 

中国医科大学の研究者たちは、多くの研究を一度に分析するメタ分析を行いました。

このメタ分析には、厳格な基準を満たした高品質の研究が含まれていました。

例えば、ケースコントロール研究(条件のある人とない人を比較して潜在的な原因を見つける)やコホート研究(一定期間にわたってグループを追跡して研究されている条件を発症する人を見る)を中心に集められました。

最終的に、1990年から2019年にかけて発表された22のコホート研究と11のケースコントロール研究が選ばれ、389,505人の参加者が含まれ、その中には認知障害のケースが18,459件含まれていました。

統計分析を33の研究にわたって実施した結果、コーヒーとお茶の消費は認知障害のリスクが低いことと関連があることがわかりました。

具体的には、コーヒーやお茶を飲む人は、飲まない人に比べてそれぞれ約27%と32%認知障害を発症するリスクが低いとされています。

また、研究者たちは、コーヒーやお茶の量と発症リスクの関連について分析しました。

コーヒーの消費とアルツハイマー病リスクの間には非線形の関係が見られ、1日約2.5カップのコーヒーを飲むことで効果が最大になることがわかりました。

しかし、1日のコーヒーの量をそれ以上増やしても効果は変わりませんでした。

 

一方、お茶の消費と認知障害の間には線形の関係が見られ、1日1カップのお茶を消費する人は認知障害による死亡リスクが11%減少することがわかりました。

さらに、民族性や性別に焦点を当てたより深い分析も行われました。

コーヒーの消費は白人の認知障害リスクを減少させることと関連していましたが、お茶の消費はアジア人の認知障害リスクを減少させることと関連していました。

また、女性よりも男性に効果がみられました。

研究者たちは、「多くの研究が、カフェインが短期的に認知機能を改善し、長期的に認知障害を予防することを示している」と結論付けています。

カフェインは過剰に活性化されたアデノシン受容体の拮抗作用を介して機能し、これによって記憶や学習に関連する領域でのシナプス可塑性を制御することができます。

ただし、この研究では、タバコやアルコールの消費、収入や教育レベルなどの要素が十分に検討されているとはいえず、さらなる調査が必要とのことです。