ワインと血管:北海道Zweigelt赤ワインの科学的探求

 

「適量を守れば、赤ワインは健康にいい」というのは、よく耳にするお話です。

今回は、その実証を試みた研究の紹介です。(ただし、これはパイロットスタディです。)

 

元論文はこちら→

Charoenwoodhipong P, Holt RR, Keen CL, Hedayati N, Sato T, Sone T, Hackman RM. The Effect of Hokkaido Red Wines on Vascular Outcomes in Healthy Adult Men: A Pilot Study. Nutrients. 2023; 15(18):4054. 

https://doi.org/10.3390/nu15184054

 

この研究では、北海道の肥沃な土壌で丹念に育てられた赤ワイン「Zweigelt」が選ばれました。

北海道のブドウは冬の間には大雪に覆われ、短い夏の季節に生育します。

 

対象は、健康な50~70歳の男性です。

参加者は、カリフォルニア大学デービス校の広告やオンラインリソースを通じて募集され、特定の基準を満たす必要がありました。

これには、BMIが18.5~40 kg/m²の範囲内であること、体重が110ポンド(49.9 kg)以上であること、直近6ヶ月間での処方薬の安定した投与量、非喫煙者であること、そして、アルコール飲料を定期的に摂取することが含まれていました。

この研究での主要な目的は、Zweigelt赤ワインの摂取が血圧や血小板の凝集に及ぼす影響を詳細に評価することでした。

参加者は、Zweigelt赤ワインを摂取し、その後の体の反応を「流量依存性血管拡張(FMD)」や「24時間食事リコール」という評価方法を用いて計測しました。

そして、その結果から興味深い発見が得られました。

2015年産と2018年産のZweigelt赤ワインを摂取した後、収縮期血圧と拡張期血圧の変動が観察され、特に2018年産のワイン摂取後の2時間の変化が顕著でした。

血管の柔軟性が約20%向上したと報告されています

血小板の凝集についても、3 µg/mLのコラーゲンアゴニストでの刺激後に有意な変化が確認されました。

 

ワインの摂取と血圧や血小板の反応との関連についての深い理解が得られることで、食品の選択や健康へのアプローチに新たな視点をもたらす可能性があります。

どんな飲み方が良いのか、どの程度を適量というのか、どの銘柄が良いのか、それらの疑問への答えはこれからということですね。