エントロピー増大の弁当箱

 

「時間とは一体何だろう?」と一度考え始めると、頭がこんがらがって大変です。

時間とは、発生した事象に名前を付けることです。それによって、ある瞬間と別の瞬間を区別することができます。

そして、それは過去、現在、未来という考えを生み出します。過去には思い出があり、未来には希望があり、現在はそこを行き来する場所です。

私の中の中二病の少年が問いを立てます。

「なぜ過去は変えられず、未来は影響を与えられるのだろうか?」

そのことを考える場合、宇宙と時間の性質を理解するための道具として「エントロピー」という概念が存在します。

エントロピーの説明時には、しばしば、ある部屋の様子をインターバル動画で示すことがありますね。

エントロピーとは、どれだけ散らかっているか、または整然としていないかを示すもの。

部屋が整理されている状態では、エントロピーが低く、部屋が散らかっている場合は、そのエントロピーが高いと表現します。

そして、物理学の法則によると、エントロピーは自然と増えていくものなのでした。

弁当箱でたとえてみると、その中のごはんやおかずが勝手に混ざっていくようなものです。

おかずが混ざる前の状態が低エントロピーで、混ざった後の状態が高エントロピー。

その弁当を食べている間に、エントロピーが増加していきます。

そこで、ちょっとした科学者を気取って、こんな問いを立ててみましょう。

「弁当箱が開けられた時、ご飯とおかずが分かれているのに、時間が経つと混ざってしまうのは何故でしょうか?」

高名な科学者は答えます。

「それは、ビッグバンという重要な事象に影響を受けて私たちが生きているためであり、エントロピーが常に増加しているためです。」

もしエントロピーが増加しなければ、私たちは過去を思い出したり、未来に影響を与えたりすることはできない、のだそうです。

それは弁当箱の中のごはんやおかずが混ざらずに、ずっと同じ状態でいるようなもので、何も起こらない、つまり、何も面白いことが起こらない。

よって、複雑な生物や構造体が存在するためには、エントロピーが増加する必要があるのだそうな。

 

この宇宙で私たちが生きていること、そして時間が進んでいることは、エントロピーが増加しているために起こっていると言われています。

弁当箱の中のごはんとおかずが時間と共に混ざり合うことで、新たな味わいが生まれるようなものなのです(笑)。きっと。