声のした方ではなく、声の向いた方へ 2026/07/27Posted in文献, 生物 台所から「そこにあるよ」と声が聞こえたとします。 姿は見えなくても、声の主がどのあたりにいるのかは、だいたいわかります。 では、物のありかまで声だけで示せるのでしょうか。 普通なら、指さしや視線が必要に思えます。 け…
初期宇宙の絵は、何度でも描き直せる 2026/07/26Posted in宇宙, 文献 コペンハーゲンの研究所にいる天文学者は、考えがまとまらないと紙に絵を描くそうです。 小さな丸を塗ってブラックホールにし、中心を横切る線で円盤を、その外側の大きな丸でガス雲を表します。 観測と合わない部分があれば、また…
1日の摂取エネルギーはほぼ同じ ― 夜型で違った脂肪のつき方 2026/07/25Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常 ダイエットの話は、たいてい量の話です。 何を、どれだけ食べたか。 菓子を1つ減らす、ごはんを軽くよそう、揚げ物を控える。 減らした分だけ体は軽くなるはずで、裏を返せば、1日の摂取エネルギーが同じくらいなら、体も似てく…
祈りのあとに、雨が来た ― 雨乞いと乾燥期間の確率 2026/07/24Posted in文献, 日常, 科学, 自然環境 今年、沖縄本島のダム貯水率は、4月末から5月初めにかけて50%を下回りました。 その後の雨で、7月半ばには平年並みまで回復しています。 雨を待つことは、沖縄では昔話だけではありません。 2024年3月31日、うる…
王女の墓の武器 ― 矢と右手の骨を重ねて見る 2026/07/23Posted in文献, 歴史 エジプトの王女、と聞くと、クレオパトラのような姿が浮かびます。 王宮の奥で香をたきしめ、召使いにかしずかれて暮らす人。 手を汚す仕事や身体を鍛えることとは縁遠く、その手は柔らかく保たれている。 そんなイメージです。 …
熱波と進行した腎臓病 ― 負担と病院までの時間にみる地域格差 2026/07/22Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと, 自然環境 沖縄の夏は、少し歩くだけで背中に汗がにじみ、喉が渇きます。 汗で体の水分が減ると、腎臓は尿として出す水分を減らし、体液の量と濃さを保とうとします。 腎臓の病気と聞くと、多くの人は血圧や血糖、年齢といった、その人自身の…
支度と後片づけという山場 2026/07/21Posted inスポーツ, 健康, 文献, 日常 カレンダーに赤い丸をつけた一日があります。 発表の日、手術の日、大会の日。 私たちはその一日に向けて身構え、そこがいちばん重い時間になると考えます。 当日を越えれば、あとはゆるやかに下っていくはずでした。 ところが振…
先に入れた火が、巨木を残した ― ジャイアントセコイアと計画的な火入れ 2026/07/20Posted in文献, 自然環境 たき火をするとき、私たちは足元の枯れ葉を払い、燃えるものと火を離します。 火を近づけないことは、森を守る基本ともされてきました。 カリフォルニアのシエラネバダ山脈でも、1世紀以上、火を消す管理が続きました。 そこに群…
南の海底のミステリーサークル ― その発見から解明への道のり 2026/07/19Posted in文献, 生物, 科学 奄美大島南部の砂に覆われた海底に、直径約2 mの円形模様があります。 中心から放射状に峰と溝が並び、峰には貝殻やサンゴ片まで置かれています。 上から見れば、作り手は完成した円を思い描き、設計図に沿って砂を刻んだように…
運動の置き土産は腸にもあった ― 動かさない筋肉を守った2つの代謝物 2026/07/18Posted in健康, 医療全般, 文献, 生物 朝のランニングを終えると、ふくらはぎは張り、息はまだ少し速く、シャツには汗が残ります。 運動の効果が生まれる場所として思い浮かぶのは、動いた筋肉や心臓、肺です。 反対に、ギプスで固定された脚の筋肉が減るのは、その脚を…
体重計の下の名簿 ― 食事を減らすとき、血液のなかで入れ替わるもの 2026/07/17Posted in健康, 医療全般, 文献 朝、体重計に現れる数字は、私たちにとって小さな判決のようなものです。 ゆうべ食べすぎたか、今週は少し抑えられたか。 数字が下がれば安堵し、上がれば小さく落胆します。 食事を減らした効果は、この数字に表れる。 それが体…
落ちる先は、真ん中ではない ― 重力を量子にしない試み 2026/07/16Posted in文献, 科学 家の鍵が上着の右ポケットか左ポケットか分からないとき、鍵の平均位置は胸の中央です。 けれども、中央を探っても鍵は出てきません。 どこにあるか知らないことと、中間にあることは別です。 確率の平均は便利ですが、個々の出来…
1人では、あの音にならない ― 「The Night Before」を弾いて知ったこと 2026/07/15Posted inビートルズ, 日常, 記念日, 音楽 2026年6月29日、ビートルズが日本へやって来てから60年を迎えました。 各地で記念の催しが開かれるなか、私も自分なりの祝い方をすることにしました。 7月のギター教室の課題曲を、「The Night Before」…
記録よりも、きつさが変わる ― 音楽を連れて走る理由 2026/07/14Posted inスポーツ, 文献, 音楽 ジョギングをしていると、以前より、イヤホンをつけたランナーが増えた気がします。 耳をふさがない骨伝導やイヤーカフ型が広まり、外の音を聞きながら使えるようになったことも大きいのでしょう。 ただ、これだけ多くの人が走りな…
カモメにも初心者マークがあった ― 茶色い羽が伝える「まだ敵ではありません」 2026/07/13Posted in文献, 生物 若いカモメの羽は、まだらの茶色をしています。 白と灰色でくっきり整った大人の隣に立つと、その茶色はいかにも仕上がりきっていない、途中の色に見えます。 私たちはつい、この茶色を、早く抜け出すべき中途半端な時期のしるしと…
小さな鳥がシカを追い払った ― 巣を守るヤマシギの意外な防衛行動 2026/07/12Posted in文献, 生物, 科学 アメリカヤマシギという鳥がいます。 ずんぐりした体に、体に合わないほど長いくちばしをつけて、地面を踏むように上下しながら歩きます。 鳴き声は鼻にかかった短い声で、勇ましいところはあまり見当たりません。 この鳥の生き方…
坂は一本ではない 2026/07/11Posted in心理学, 文献, 日常 人の名前がとっさに出てこない。 暗算に前より少し手間取る。 若いころほど頭が回らなくなった、と感じる場面は、40を過ぎたあたりから増えてきます。 こうした手応えから、多くの人が一つの見取り図を持っています。 頭の働き…
開いていると思っていた箱 2026/07/10Posted in宇宙, 文献, 科学 2019年、人類は初めてブラックホールの姿を写真にしました。 オレンジ色の環が、暗い中心を囲んでいる。 あの1枚は、地球ほどの大きさに広げた望遠鏡が、世界中で集めた電波を組み合わせて作られています。 ただし、集まった…
強さを目算する目 ― 男性の体の魅力に残る古い物差し 2026/07/09Posted in心理学, 文献 街を歩いていて、あるいは画面をながめていて、誰かの体にふと目が留まることがあります。 しばらく鍛えているのだろうな、とか、引き締まっているな、とか。 多くの場合、私たちはそれを個人的な好みだと考えています。 人の体の…
前半の貯金は、後半で利息を取られる ― マラソンの足取りに残る配分の科学 2026/07/08Posted inスポーツ, ランニング, 文献 市民マラソンの30キロ地点で、それまで軽かった脚が急に言うことを聞かなくなることがあります。 私の場合は、毎回といってもいいほどです。 前半は気持ちよく飛ばせて、時計を見ては貯金ができたと安心していました。 ところが…
絶対零度で、熱の出入りが消える ― ネルンストの定理を第2法則からたどる 2026/07/07Posted in文献, 科学 「いちばん冷たい場所」と聞くと、決まってひとつの光景が浮かびます。 温度計の目盛りをどこまでも下へたどり、これ以上は下がらない点に行き着く。 粒の動きも止まり、すべてが凍りついた、階段のいちばん下の段。 「絶対零度」…
「つわり」を測る試み ― マーモセットとマウスに見えた足踏みの記録 2026/07/06Posted in医療全般, 文献, 生物 つわりは、外から見えにくい不調です。 吐き気、食欲の低下、においへの敏感さ、体重の変化。本人には切実でも、周囲にはその強さがわかりにくい。 そのため、ときに「個人差」や「気の持ちよう」という言葉の棚に置かれてきました…
サメのつきあい相関図 ― オオメジロザメも、つきあう相手を選んでいた 2026/07/05Posted in文献, 生物, 科学 オオメジロザメは、危険なサメとして名前が挙がることの多い魚です。 鋭い歯を持つ大型の捕食者で、海だけでなく汽水や淡水にも入り、ときに人との事故も起こします。 群れで身を寄せ合う魚というより、単独で獲物を追う魚。 私た…
週末の寝だめ ― 睡眠不足は足し算だけでは清算できない 2026/07/04Posted in健康, 医療全般, 文献, 日常 週末の朝、目覚ましを止めて、布団に戻る。 平日に削られた眠りを、今日こそ取り返す。 生活のリズムが多少崩れても、それはあとで考える。 いまは眠るほうが先です。 私たちは眠りを、口座の残高のように考えがちです。 平日に…
笑いは人間だけのものではなかった ― 類人猿の「ハハハ」に残る古い拍子 2026/07/03Posted in心理学, 文献, 生物 人間は「笑う動物」だと言われます。 でも、どうやら独占契約ではなかったようです。 動物園やテレビで、チンパンジーが口を開けて息をはずませている姿を見ると、私たちはつい「笑っている」と言いたくなります。 ある世代なら、…