1日の摂取エネルギーはほぼ同じ ― 夜型で違った脂肪のつき方

1日の摂取エネルギーはほぼ同じ ― 夜型で違った脂肪のつき方

 

ダイエットの話は、たいてい量の話です。

何を、どれだけ食べたか。

菓子を1つ減らす、ごはんを軽くよそう、揚げ物を控える。

減らした分だけ体は軽くなるはずで、裏を返せば、1日の摂取エネルギーが同じくらいなら、体も似てくるはずです。

食べた量は、体に入る量です。

 

ニュージーランドの研究チームは、食事と体を、どちらも合計より細かく分けて調べました。

BMIは身長と体重から集団の傾向をつかむには便利ですが、筋肉と脂肪の内訳や、脂肪が体のどこにつくかまでは区別しません。

同じ体重の2人が、同じ中身とはかぎらない。

食事も、1日の合計だけでは、その合計がどう作られたのかが残りません。

研究チームは体脂肪率と、腹部と臀部・大腿部の脂肪の比を測り、食事記録は合計に丸める前の形で残しました。

 

使われたのは、2016年7月から2017年9月に、別の目的で集められたデータです。

対象はオークランドに暮らす18~45歳の健康な女性287人で、欧州系157人と太平洋諸島系130人でした。

もとの募集では、自己申告BMIが25未満または30以上であることが条件で、朝型と夜型を比べるために集まった人たちではありません。

過去4週間の睡眠時刻から、朝型35人、中間型155人、夜型97人に分かれました。

食事は平日3日と週末2日の計5日分を書き留めてもらい、後日、栄養士が一人ずつ向かい合って分量を確かめています。

 

1日のエネルギー量を単純に比べると、夜型のほうが約51 kcal多く取っていました。

炭水化物も夜型で多い一方、たんぱく質と脂質には差がありません。

ただし、夜型には若い人や太平洋諸島系の人、困窮度の高い地域に住む人が多く含まれていました。

こうした違いを考慮すると、1日のエネルギーと3大栄養素の量では、2群を分けられませんでした。

それでも、単純に並べた体の数字は同じではありません。

BMIは夜型31.4、朝型・中間型26.1で、夜型では腹部寄りの脂肪の割合も高くなっていました。

 

食事記録がそろった朝型・中間型189人と夜型95人について、1日の配分を開くと、別の違いが残っていました。

夜型が10:00までに取ったエネルギーは1日量の9%で、朝型・中間型は15%。20:00以降は、夜型23%、朝型・中間型11%です。

年齢や民族、困窮度の違いを考慮しても、朝は朝型・中間型が多く、夜は夜型が多いという関係は残りました。

その間の時間帯には、はっきりした差がありません。

たんぱく質、炭水化物、脂質でも、朝と夜の向きが入れ替わっていました。

同じ量に近い荷物が、別の時刻に降ろされています。

 

ただし、食べる時刻が体の違いを生んだとは決められません。

食事と体組成を同じ時期に並べただけで、その後の変化を追っていないうえ、体格の差には年齢や民族などを考慮していないからです。

夜型97人のうち83人が太平洋諸島系だったのに対し、朝型・中間型190人では47人でした。

文化や仕事、食習慣まで切り離せません。

4つの時間帯の境目も、同じ参加者の食事分布、ニュージーランドの食習慣、先行研究をもとに、あとから定められました。

食事と睡眠時刻は自己申告で、体内時計そのものも測っていません。

時計の20:00が、全員にとって同じ生物学的な夜だったかは分かりません。

 

夜、冷蔵庫の扉を開けます。

手に取ったものは、1日の合計表では昼に食べたものと同じ欄に加えられます。

壁の時計の数字だけが、その欄に入りません。

 

参考文献:

van der Merwe C, Richter-Cottle M, Breier BH, Douwes J, Münch M and Kruger R (2026) Chronotype and associations with dietary intake, meal timing, body composition, and metabolic biomarkers. Front. Nutr. 13:1862060. doi: 10.3389/fnut.2026.1862060

 

 

紹介した論文の音声概要を、NotebookLMでポッドキャスト化してみました。あわせてお楽しみください。