心配の続きを、あとに回す 2026/09/15Posted in健康, 心理学, 文献 心配事が頭から離れないときがあります。 心ここにあらずで、目の前のことに集中できず、「これじゃいけない」「もう忘れよう」と、なんとか立て直そうとします。 けれども、数分後には、やっぱり同じ心配事が頭に戻ってきます。 …
テロメアの長さに残るもの ― 親から受け継いだ配列 2026/09/14Posted in健康, 医療全般, 文献, 科学 鉛筆を削ると、芯がとがる一方で軸は短くなります。 残った長さには、使ってきた経過が表れます。 細胞にも、分裂を重ねると短くなる部分があります。 遺伝情報を収めた染色体の端を保護する、テロメアです。 伸ばす酵素が働かな…
質問は往復でできている 2026/09/13Posted inAI, 文献, 日常, 科学 薬の飲み合わせで迷ったとき、以前は薬局に電話をかけていました。 診療の途中でクリニックを離れられないので、受話器を取り、忙しい時間帯かもしれない相手の手を止めてもらいます。 いまは手元の画面に打ち込めば、数秒で候補が…
散歩の時間、働く時間 ― 体を動かす場面と認知症 2026/09/12Posted in健康, 医療全般, 文献 外来で「できる範囲で運動しましょう」と患者さんにすすめる場面は少なくありません。 「仕事でずっと動いているんですよ」と返されて、言葉につまることもあります。 仕事中でもウォーキングでも、歩数計に表示されるのは一日の歩…
仲間を助ける一匹 ― アリの救助と、脳の遺伝子発現 2026/09/11Posted in文献, 生物, 科学 アリの世界をのぞき見るとき、私たちは個体よりも集団としての動きに目を奪われがちです。 分業しながら協力して暮らすアリには、動けなくなった仲間を助ける種類もいます。 砂漠アリの一種、カタグリフィス・ニグラもその一つです…
笑い声にも土地柄 ― チンパンジーの声と育ち 2026/09/10Posted in文献, 生物 電話の向こうの語尾や抑揚に、相手が暮らしてきた土地を感じることがあります。 同じ言葉を使っていても、育った土地によって音の上がり下がりや間の取り方に違いが出るものです。 でも、笑い声となると、土地の違いをあまり感じま…
もっと速く走りたいランナーへ ― 「自分に合う練習」を探す科学 2026/09/09Posted inスポーツ, ランニング, 文献 健康診断の結果に背中を押されて、歩き始める。 運動不足が気になって、近所をひと回りしてみる。 走るきっかけは、そんな身近なことだったかもしれません。 初めは少し走るだけで息が上がっていたのに、歩いたり走ったりを続ける…
サンゴの枝のあいだ ― 魚が払う家賃 2026/09/08Posted in文献, 生物, 科学, 自然環境 子どものころ、慶良間諸島でグラスボートに乗った記憶が、今も残っています。 船底のガラス越しに見えた海底は、青緑色の光に沈んでいました。 枝分かれしたサンゴの隙間を、小さな魚の群れが出たり入ったりしていました。 魚がサ…
救急車を待つ時間 ― 0分はゼロではない 2026/09/07Posted in医療全般, 文献, 日常 目の前で人が倒れたとします。 119番に電話をかけます。 通報を終えても、サイレンはすぐには聞こえません。 救急隊が到着するまでの時間は、永遠にも思える空白です。 日本の研究チームは、2010年から2023年まで…
ゴールのあと、答えは一つにならなかった ― 「ランナーズハイ」という一語 2026/09/06Posted inスポーツ, ランニング, 文献, 神経科学 ジョギングの走り始めは、たいてい体が重く、息も上がります。 それでもその時間をやり過ごして走り続けると、私の場合、5キロを過ぎるころから、それまで重かった足がふっと軽くなり、気分も晴れてきます。 私はこれを、勝手に「…
腎臓の病気を、腎臓の外から見る ― 腎周囲脂肪という場所 2026/09/05Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 「腎周囲脂肪」という名は、説明がそっけない。 腎臓の周りにある脂肪。 それしか教えてくれません。 働きではなく、住所を記した名前です。 今回の研究は、その住所そのものを実験の対象にしました。 糖尿病性腎臓病では、…
1度と6度 ― 目を動かす距離で、粗い像が前に出る 2026/09/04Posted in文献, 神経科学 沖縄では、きょろきょろ見回すことを「みーぐるぐるー」と言います。 探し物をしていなくても、視線は日常の中をあちらへこちらへと動いています。 本の文字を追うときも、部屋を見渡すときも、眼球は小さく素早いジャンプを繰り返…
加齢と細胞の顔ぶれ ― 1,828種類のうち499種類に年齢差 2026/09/03Posted in健康, 医療全般, 文献, 腎臓のこと だいぶ前の話ですが、鏡の前で眉毛に白いものを見つけ、少なからず動揺しました。 耳の周りの白髪は、その前から目立つようになっていました。 「いよいよ広がってきたか」 年を取っていく自分の体を、まざまざと見せつけられた気…
ふくらはぎの硬さでは分からないもの ― 押し出す力と、足の潰瘍 2026/09/02Posted in健康, 医療全般, 文献 足がむくんで心配だと言って外来にみえる方が、ときどきいらっしゃいます。 まず脛の前を指で押します。 跡がへこんだまま残るか、何秒で戻るか。 それから両手でふくらはぎを包んで、硬さと張りを確かめます。 長く診ていると、…
マインドフルネスで調子を崩すということ ― 「起きた」と「起こした」のあいだ 2026/09/01Posted inマインドフルネス, 健康, 医療全般, 文献 瞑想や坐禅で調子を崩すことは、新しい話ではありません。 私は長く瞑想に関心を持ち、白隠禅師が経験したという「禅病」についても、これまで詳しく調べてきました。 白隠は厳しい修行のさなかに心身の調子を崩し、白幽仙人から教…