フランクリンも数えていた — おならの「ふつう」をめぐる36万回 2026/06/17Posted in健康, 文献, 日常 1781年、ベンジャミン・フランクリンは、自分が1日に「腸から風を出す」回数を7回と書き残しました。 いたずら心も混じる、妙にまじめな記述です。 電気の実験で知られ、合衆国建国にも名を連ねる人物が、そんな体の出来事…
縁まで、あと少し ― エルニーニョと雨雲の境目 2026/06/16Posted in文献, 日常, 科学, 自然環境 沖縄の夏、海の上に湧き上がる雲をながめていると、午後には雨が降ります。 海が暖かいほど雲は高くなり、雨脚も強くなる。 そう感じるのは自然です。 大きな原因には、大きな結果がついてくる。 強く押せば、それだけ大きく返っ…
鉄はあるのに、届かない ― ビタミンCと透析貧血のあいだ 2026/06/15Posted in健康, 医療全般, 文献, 透析関連 戸棚を開けると、奥まで食材で満ちています。 それなのに、今夜すぐ食卓に出せるものが、見当たらない。 買い置きはあるのに、手が止まる。 そんな夜が、たまにあります。 蓄えがあることそのものを、足りている証拠だと思ってい…
覚えているのに、言わないこと ― AIの記憶に必要な間合い 2026/06/14Posted inAI, 心理学, 文献 そこまで親しいわけではない相手に、近くでお昼を食べられる店はないかと、軽くたずねたとします。 「療養あけですし、入院もありましたから、やさしいものがいいですね」 返ってきたのは、店の名前ではありませんでした。 以前、…
小さな部屋では、声が返ってくる ― 量子の環境に残る記憶 2026/06/13Posted in文献, 科学 コーヒーに垂らしたミルクは、白い筋を引いて広がり、やがて全体に溶けていきます。 元の一滴に戻ることはありません。 広い野原で名前を呼んでも、声は遠ざかって消え、返ってきません。 外へ出ていったものは薄まって失われる。…
返事がないことと、届いていないこと 2026/06/12Posted in医療全般, 文献, 神経科学 「ご家族の声は聞こえているといいますから、名前を呼んであげてくださいね。」 病院で勤務していたころ、昏睡状態の患者さんのご家族に、私は何度もそうお伝えしました。 確かな根拠を示せたわけではありません。 それでも、…
足元ではなく、斜め下流に 2026/06/11Posted in文献, 科学, 自然環境 浅い川に足を入れると、足の後ろで水が小さく巻きます。 流れがぶつかってできた乱れは、足のすぐ後ろにあって、少し下流へ行けば消えていく。 乱れがおよぶのは、それを生んだものの足元あたり。 海底に残る跡も、そのそばにある…
脳で、先に後回しになるもの 2026/06/10Posted in文献, 神経科学 一日の終わりに、考えがうまくまとまらなくなることがあります。 メールの文面が浮かばない。 計算を二度間違える。 こういう夜は、頭がぜんぶくたびれているのだと思いがちです。 それでも、手のひらに伝わるカップの温かさはは…
疲れているのに、なぜ長く走ってしまうのか ― スマートウォッチに残った、努力と回復のずれ 2026/06/09Posted inランニング, 健康, 心理学, 文献 疲れている日ほど、早く休めばいい。 頭ではそうわかっています。 けれど現実には、そうならないことがあります。 遅れた仕事を片づける。 足りなかった勉強時間を埋める。 昨日できなかった分を、今日の自分に上乗せする。 そ…
強さではなく、拍子のはなし ― クフ王のピラミッドはなぜ地震に耐えてきたのか 2026/06/08Posted in文献, 歴史, 科学 ギザの大ピラミッドの前に立つと、その大きさに圧倒されます。 完成したのは、いまからおよそ4600年前。 それから今日まで、半径80kmほどの範囲で地震が何度も起きてきました。 表面を覆っていた化粧石が落ちたことはあっ…
服装は、どこまで本人のものなのか ― 身体と視線をめぐる研究 2026/06/07Posted inヘンな論文(私見), 心理学, 文献 私のブログには「ヘンな論文(私見)」という分類があります。 真顔で妙なことを調べた論文を探して読む、趣味としか言いようのない道楽です。 お手本は、人を笑わせ、それから考えさせるというイグノーベル賞の精神。 今回の一本…
昆虫食は、ひとくくりにできるのか ― バッタ、コオロギ、オケラの体に残った土と草の記録 2026/06/06Posted in文献, 生物, 科学 昆虫食をすすめる話ではありません。 食卓にバッタやコオロギが出てきたら、箸が止まる人は少なくないはずです。 その反応は、恐れや弱さではなく、ごく自然な距離感です。 長いあいだ私たちは、虫を食べものではなく、避けるもの…
低たんぱく食は腎臓を守るのか ― 尿から見えた、食事指導と実際の摂取量の差 2026/06/05Posted in医療全般, 文献, 腎臓のこと 低たんぱく食が腎臓を守るのかどうか。 この問題に、専門家たちは30年以上、はっきりした答えを出せずにいました。 ある研究では効果あり、別の研究では差なし。 同じ病気を扱い、似た食事を指示しているのに、結論が研究ごとに…
AIは病気を当てた。そのあと、何が動いたのか ― 腎臓診療で見えた、予測と一手の距離 2026/06/04Posted inAI, 医療全般, 文献, 腎臓のこと, 透析関連 入院した人の腎臓が、働きを落とし始める。 その急変を、AIが半日から2日ほど前に知らせる。 検査値がまだ正常に見える段階で、カルテに並ぶ細かな数字の動きから、危険を見積もる仕組みです。 腎臓の領域では、こうした予測の…
夜の森で、サンショウウオは何色だったのか ― ファイアサラマンダーの皮膚分泌物に見えた青緑の合図 2026/06/03Posted in文献, 生物, 科学, 自然環境 ヨーロッパでよく調べられてきた両生類の一つに、ファイアサラマンダーがいます。 黒地に黄色い斑(まだら)模様を持ち、毒を持つ生きものです。 その派手な色彩は、「食べるな」と知らせる警告色の代表例として、長く教科書的に扱…
海の案山子は、いつまで鳥をだませるのか ― 目玉ブイと、怖さが風景に変わるまで 2026/06/02Posted in文献, 生物 海沿いの定置網には、魚が集まります。 魚が集まれば、鳥もやって来ます。 漁師にとっては売り物をついばむ相手であり、鳥にとっては目の前に置かれた朝食です。 腹を立てたくなる場面ですが、鳥の多くは保護の対象でもあります。…
短いほうがやさしい、とはかぎらない ― 146,127人のデータから考える、透析時間と体の間合い 2026/06/01Posted in文献, 透析関連 血液透析の時間は、短いほど患者さんにやさしい。 そう考えるのは、とても自然です。 週に3回、ベッドや椅子の上で何時間も過ごす。 仕事、家族、食事、眠気、帰り道。 その時間を少しでも取り戻したいと思うことに、後ろめた…