水は暮らしへ、塩は資源へ ― 太陽熱淡水化と、海水からの鉱物採掘を同時に試した研究

水は暮らしへ、塩は資源へ ― 太陽熱淡水化と、海水からの鉱物採掘を同時に試した研究

  海に囲まれた沖縄に住む私たちにとって、海水淡水化プラントはただの施設ではありません。 干ばつや台風のたびに、水がどれほど暮らしの足場を支えているかを思い知らされます。 透析クリニックに身を置く者としては、水は暮らしを…
水が引いた池に、巨大生物の輪郭があった ― タイの赤い泥から見えた、恐竜世界の並び替え

水が引いた池に、巨大生物の輪郭があった ― タイの赤い泥から見えた、恐竜世界の並び替え

  乾季の池では、水位が下がると、ふだん隠れていた泥の面があらわれます。 魚の跡、割れた土、流木、小石。 そこに少しだけ違うものが混じっていても、最初はただの石に見えるかもしれません。 2016年、タイ東北部チャイヤプー…
美術館に行くと、老化時計は遅れるって? ― 3556人の血液で見た、芸術・運動・歳のとり方

美術館に行くと、老化時計は遅れるって? ― 3556人の血液で見た、芸術・運動・歳のとり方

  人は古くから、老いを恐れるだけでなく、その進み方を知ろうとしてきました。 最古級の文学として語られる『ギルガメッシュ叙事詩』にも、永遠の命を求める王の姿があります。 私たちは不老不死の霊薬を探して旅に出るわけではあり…
楽器を習ってきた人と、そうでない人 ― 退屈な課題で見えた、注意の途切れにくさ

楽器を習ってきた人と、そうでない人 ― 退屈な課題で見えた、注意の途切れにくさ

  月に3回ほど通うギター教室で、私はよく講師の先生に苦笑いされます。 大好きなビートルズの初期の曲を弾きたくて、自分で課題曲に選びました。 聴いていると若々しく、リズムも小気味よく、こちらの足まで動きそうになります。 …
腸内細菌と血圧は、どこでつながるのか ― インドール3酢酸でたどる、腸・脳・心臓の「途中」

腸内細菌と血圧は、どこでつながるのか ― インドール3酢酸でたどる、腸・脳・心臓の「途中」

  腸内細菌は、いまや健康情報の常連です。 かつては「お腹の調子」と結びつけて語られることが多かったこの話題は、免疫、代謝、気分、記憶へと広がってきました。 以前、コーヒー習慣と腸内細菌、気分と記憶のつながりを扱ったとき…
超音波で、ウイルスは壊せるのか ― 強い衝撃ではなく、包膜に合う周波数を探した研究

超音波で、ウイルスは壊せるのか ― 強い衝撃ではなく、包膜に合う周波数を探した研究

  目に見えないウイルスに対処しようとするとき、私たちは薬や消毒、強い紫外線、熱を思い浮かべます。 物理的に「壊す」としたら、超音波洗浄機のような強い衝撃が必要でしょう。 低い周波数の超音波が水中に気泡を生み、その気泡が…
卵は、控えたほうが安心なのか ― 39,498人を15年追って見えた、食卓とアルツハイマー病の関係

卵は、控えたほうが安心なのか ― 39,498人を15年追って見えた、食卓とアルツハイマー病の関係

  外来で栄養の話になると、「卵はどのくらい食べてもいいのでしょうか」と聞かれることがあります。 すぐに答えられそうで、案外そうでもありません。 卵は長いあいだ、食卓の人気者であり、少し疑われてきた食材でもあります。 コ…
脳の下り坂に、細い道があった ― 成人3,966人を3年追って見えた、脳健康指数と生活の手がかり

脳の下り坂に、細い道があった ― 成人3,966人を3年追って見えた、脳健康指数と生活の手がかり

  鍵を探すのに時間がかかったり、数日前の出来事がすぐに出てこなかったりする。 そんな小さな記憶の淀みを、私たちはたいてい「年のせい」として受け入れます。 足腰が弱れば歩く距離を少し増やせる。 肌が乾けば保湿もできます。…
炭酸水を、ただ一本だけ置いた ― 健康成人45人の12週間試験で見えた、間食と飲酒の小さな分岐点

炭酸水を、ただ一本だけ置いた ― 健康成人45人の12週間試験で見えた、間食と飲酒の小さな分岐点

  「カロリーゼロ理論」というネタがウケるのは、もちろん理屈が正しいからではありません。 むしろ、あまりに正しくないから笑ってしまうのです。 けれど同時に、そこには少しだけ身に覚えがあります。 夕食後のひと口を「これは別…
息が上がれば、同じ運動なのか ― 水泳とランニングで違った、心臓への手ごたえ

息が上がれば、同じ運動なのか ― 水泳とランニングで違った、心臓への手ごたえ

  以前にジムに通っていた頃のことです。 私はトレーニング器具のある上階には向かわず、いつもプールへ直行していました。 決して泳ぎが達者な方ではありません。 それでも、水に浸かっている時間そのものが気持ちよかったのです。…
息が続くことは、体だけの話なのか ― 400万7638人の追跡で見えた、心肺持久力と心と記憶

息が続くことは、体だけの話なのか ― 400万7638人の追跡で見えた、心肺持久力と心と記憶

  健康診断の検査項目で、「体力」は測定されません。 まして、認知機能や心の病といった分野とも、あまり結びつけて見られていません。 階段で息が切れた話と、最近気分が沈むという話と、同じことを何度も聞き返すようになった話は…
病原体に出会う前、T細胞は何を準備していたのか ― 食後の脂質代謝で、免疫の初動が変わっていた

病原体に出会う前、T細胞は何を準備していたのか ― 食後の脂質代謝で、免疫の初動が変わっていた

  幼いころ、風邪をひくと、おばあがカチューユを作ってくれました。 お椀にたっぷりのかつお節と味噌を入れ、お湯を注ぐだけの汁物です。 医学的に万能薬という話ではありません。 それでも、体調を崩したとき、食べ物が体を支えて…
同じ挽き目なのに、なぜ流れが変わるのか ― エスプレッソの粉の中にある、通れる穴と通れない穴

同じ挽き目なのに、なぜ流れが変わるのか ― エスプレッソの粉の中にある、通れる穴と通れない穴

  コーヒーの味にこだわるほど、豆の産地や焙煎の深さが気になります。 エスプレッソでは、細かく挽いて、タンピングと呼ばれる作業で押し固めた粉に、高い圧力でお湯を通します。 お湯が粉の層を抜ける速さが変われば、成分が溶け出…