卵は、控えたほうが安心なのか ― 39,498人を15年追って見えた、食卓とアルツハイマー病の関係

卵は、控えたほうが安心なのか ― 39,498人を15年追って見えた、食卓とアルツハイマー病の関係

  外来で栄養の話になると、「卵はどのくらい食べてもいいのでしょうか」と聞かれることがあります。 すぐに答えられそうで、案外そうでもありません。 卵は長いあいだ、食卓の人気者であり、少し疑われてきた食材でもあります。 コ…
脳の下り坂に、細い道があった ― 成人3,966人を3年追って見えた、脳健康指数と生活の手がかり

脳の下り坂に、細い道があった ― 成人3,966人を3年追って見えた、脳健康指数と生活の手がかり

  鍵を探すのに時間がかかったり、数日前の出来事がすぐに出てこなかったりする。 そんな小さな記憶の淀みを、私たちはたいてい「年のせい」として受け入れます。 足腰が弱れば歩く距離を少し増やせる。 肌が乾けば保湿もできます。…
炭酸水を、ただ一本だけ置いた ― 健康成人45人の12週間試験で見えた、間食と飲酒の小さな分岐点

炭酸水を、ただ一本だけ置いた ― 健康成人45人の12週間試験で見えた、間食と飲酒の小さな分岐点

  「カロリーゼロ理論」というネタがウケるのは、もちろん理屈が正しいからではありません。 むしろ、あまりに正しくないから笑ってしまうのです。 けれど同時に、そこには少しだけ身に覚えがあります。 夕食後のひと口を「これは別…
息が上がれば、同じ運動なのか ― 水泳とランニングで違った、心臓への手ごたえ

息が上がれば、同じ運動なのか ― 水泳とランニングで違った、心臓への手ごたえ

  以前にジムに通っていた頃のことです。 私はトレーニング器具のある上階には向かわず、いつもプールへ直行していました。 決して泳ぎが達者な方ではありません。 それでも、水に浸かっている時間そのものが気持ちよかったのです。…
息が続くことは、体だけの話なのか ― 400万7638人の追跡で見えた、心肺持久力と心と記憶

息が続くことは、体だけの話なのか ― 400万7638人の追跡で見えた、心肺持久力と心と記憶

  健康診断の検査項目で、「体力」は測定されません。 まして、認知機能や心の病といった分野とも、あまり結びつけて見られていません。 階段で息が切れた話と、最近気分が沈むという話と、同じことを何度も聞き返すようになった話は…
病原体に出会う前、T細胞は何を準備していたのか ― 食後の脂質代謝で、免疫の初動が変わっていた

病原体に出会う前、T細胞は何を準備していたのか ― 食後の脂質代謝で、免疫の初動が変わっていた

  幼いころ、風邪をひくと、おばあがカチューユを作ってくれました。 お椀にたっぷりのかつお節と味噌を入れ、お湯を注ぐだけの汁物です。 医学的に万能薬という話ではありません。 それでも、体調を崩したとき、食べ物が体を支えて…
同じ挽き目なのに、なぜ流れが変わるのか ― エスプレッソの粉の中にある、通れる穴と通れない穴

同じ挽き目なのに、なぜ流れが変わるのか ― エスプレッソの粉の中にある、通れる穴と通れない穴

  コーヒーの味にこだわるほど、豆の産地や焙煎の深さが気になります。 エスプレッソでは、細かく挽いて、タンピングと呼ばれる作業で押し固めた粉に、高い圧力でお湯を通します。 お湯が粉の層を抜ける速さが変われば、成分が溶け出…
勝手にマジシャン紹介:口のないカップに、なぜ空洞が見えたのか―高木重朗と、手品の中にある私たちの思い込み

勝手にマジシャン紹介:口のないカップに、なぜ空洞が見えたのか―高木重朗と、手品の中にある私たちの思い込み

  カップ・アンド・ボールという奇術があります。 カップを伏せ、その下にボールを入れたり消したりする芸です。 古代ローマ時代には「acetabula et calculi(アケタブラ・エト・カルクリ)」と呼ばれた記録があ…
腹に力が入ると、脳が動く ― 覚醒マウスで見えた、腹圧・脳運動・脳内液体流のつながり

腹に力が入ると、脳が動く ― 覚醒マウスで見えた、腹圧・脳運動・脳内液体流のつながり

  運動が脳によい、という話はすっかり常識になりました。 散歩を続ける人は、年を重ねても頭の働きが保たれやすい。 体を動かすことは、認知機能を保つ助けになるらしい。 そう聞くと、血流がよくなる、酸素が届く、筋肉からよい物…
ランニングシューズで足の故障は防げるのか――成人ランナー1万1240人と12試験で見た、靴選びと下肢傷害

ランニングシューズで足の故障は防げるのか――成人ランナー1万1240人と12試験で見た、靴選びと下肢傷害

  ランナーは靴売り場で、少しだけ未来を買っています。 厚いクッション、軽い素材、足の倒れ込みを抑える構造、足型を見て選んでもらう一足。 どれも「これなら痛めにくい」と思わせます。 値札を見ると、先に財布のほうが痛みそう…
足し算ではなかった、脳 ― 哺乳類182種とAIモデルで見えた、二つの情報整理と進化の配分

足し算ではなかった、脳 ― 哺乳類182種とAIモデルで見えた、二つの情報整理と進化の配分

  脳の重さがほぼ同じなら、中のつくりも似ているはずだと考えたくなります。 ところが、夜に活動する小型のサル、フクロウザル(別名ヨザル)は脳の重さが約15グラム。 見た目はリスに似ていますが、尾が短く、ほとんど目立たない…
朝の一杯を待っていたのは、脳だけではなかった―健康成人62人で見た、コーヒー習慣・腸内細菌・気分と記憶のつながり

朝の一杯を待っていたのは、脳だけではなかった―健康成人62人で見た、コーヒー習慣・腸内細菌・気分と記憶のつながり

  朝の出勤途中、私はよくコンビニに寄って、ホットのカフェラテを注文します。 カップを受け取り、一口飲んで、ホッと息をつく。 そこから脳がようやく仕事用のモードに入っていく感じがあります。 これが、コーヒー好きという言葉…