透析室では、月後半の採血が今週にありました。
中でも8時間のオーバーナイト透析をしている方々のデータは関心を集めました。
話は飛びますが
2002年にScribner先生とOreopoulos先生が
血液透析の適正さを表す hemodialysis Product:HDP という指標を提唱しました。
これは透析スケジュールに注目した指標で、1週間に行う透析の回数と透析時間だけで計算するものです。
HDP = (1週間の透析回数)2 × 1回の透析時間
The hemodialysis product (HDP): A better index of dialysis adequacy than Kt/V
BH Scribner, DG Oreopoulos – Dialysis and Transplantation, 2002
この文献に、HDPを説明する表があり、その数値と臨床的な意義を示しています。
下の表の、一番左側の数字が1回の透析時間
次の数字が1週間の透析回数
そしてその時のHDP値
一番右側にその臨床的な結果。
明らかにフランスのタサン透析センターの成績を意識したもので、もちろんその結果を重視したものですが
これによると45がボーダーライン。72以上が適正だと言っています。
(タサン透析センターは長年週3回×8時間透析をしているところです。)
でも少し考えれば、HDP 72以上を達成するのはちょっとやそっとでは困難だということがわかりますね。
通常行われている透析スケジュールが、『週3回、1回4時間』ですから
32 × 4 = 36
この文献では、HDP 36 を「inadequate(不十分)」で「malnourished(栄養失調)」だと言っているのです。
6時間の週3回でも
32 × 6 = 54
HDP 72以上を達成するには週3回だと、8時間以上をしなければならないということになりますね。
それほどにHDP 72以上という数値が「adequate(十分)」なものなのでしょうか。
下のグラフは沖縄とタサン透析センターの透析患者の生存率を示したものです。
生存期間中央値で約5年の差があります。
この実績がすべてを物語っているのですね。