(1日遅れましたが) 5月になりました

1年の3分の1がすでに過ぎてしまいました。

「いつの間に」か、4月が終わっています。

 

先日、スタッフから嬉しい言葉がありました。

「先生、○○をつくってもいいですか?」

この姿勢は私が望んでいることで、今までにもそういう言葉が出るたびに(おう!)と心の中で喜んできました。

「○○をしましょう。」という提案は、とても嬉しいものです。

 

昨日の「パラドックス」の話ではありませんが

「共通のビジョンは設定するが、多様性を求める。」

「団結したチーム作りをするが、(生産的な議論の上では)対立も歓迎する。」

 

共通のビジョンとは、クリニックの理念のことです。

これから、もっともっとエネルギーが湧いてきそうです。

 

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「うそつきのパラドックス」 

こんな話を聞いたことはありませんか?

 

クレタ人のある男が言った。

「クレタ人はみんな嘘つきだ。」

さて、彼は真実を話しているのか? それとも嘘をついているのか?

 

クレタ人のある男とはクレタ島出身の哲学者エピメニデスのことです。

嘘つきのパラドックスとして有名です。

ただし、この話は解釈次第では矛盾が生じないとする説もあって、私としては次の文章をおすすめしたいです。

 

「ある人は自分が嘘をついていると言う。さて、彼は本当のことを言っているか、それとも嘘をついているか?」

 

本当のことを言っているのなら「嘘をついている」と言っていること自体が嘘になって

嘘をついているのなら、「嘘をついている」ことが嘘なので、本当のことを言ってしまっていることになって…

 

ナントモ堂々巡りになりそうな、つまりは矛盾から抜け出せない状況なんですね。

 

けれども、こんなパラドックスは現実の世界では教訓として役に立つこともあります。

例えば、「病気が病気を防ぐ。」

パスツールがこのパラドックスを発見したおかげで、ワクチンという発想が生まれたのはご承知の通りです。

 

相反するもので望ましくないもの。

矛盾するけれども、現実としてそこにあるもの。

これらを「パラドックス」として再発見して面白がってもいい気がします。

これら矛盾の2つを結びつけてしまうことも、解決のひとつの糸口なんじゃないのかなあ。

ふと、そう思うことがあります。

 

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見学者のご紹介(掲載許可を得て)

4月26日付の投稿 「見学に来ていただきました」 では中途半端なご紹介ですみませんでした。

翌日、学会場でお会いした際に、快く承諾してくれましたので胸を張ってご紹介しますね(笑)。

 

佐賀県の前田病院の前田篤宏先生、大山奈々先生、臨床工学技士の都知木康行さんの面々です。

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熱意と情熱にあふれていて、とても爽やかでした。

 

前田病院に関しては、「長時間透析研究会に参加してきました」の投稿でご紹介しました。

世界に誇れるご施設だと思いますし、いつも感服しながらそのご活躍を拝見しています。

本来なら、私たちの方が見学に行くべきなんですね。

 

このネットワークを大切にして、少しでも透析を受ける方々の力になれるように、これからもご一緒していけたらと思っています。

 

 

クッシュ・ボール

クリニックの外来の朝のミーティングの時に使っている小道具がクッシュ・ボール。

 

元々が子供向け玩具なのですが、これをアイスブレイクや「Good & New」に使うと面白いというのをどこかで聞いて、開業の時に購入していたものを、今さらながら持ち出してきました。

本家の使い方は → こちら。

 

クッシュ・ボールはラテックス性です。

ゴムの切れ端を細かく放射状に束ねてボールの形にしたものです。

感触が面白い。

 

私たちクリニック(外来)の使い方を紹介します。

まず司会者がクッシュ・ボールの色を決めます。

「今日はオレンジでいきます。」

オレンジ系とブルー系の2個のクッシュ・ボールのうちから選んで手に取ります。

 

「おはようございます。今日の予定は…」

で始まり、話し終わった後に次の発言者に向けて、クッシュ・ボールをトスします。

 

ボールを持った人はお話をします。

最近ハッピーになったことでもいいし、わじわじぃしたことでもいいし。

話をする間、クッシュ・ボールを引っ張ったり、ポンポンとしたり、ギュッと握りしめたり。

 

たったそれだけのことですが、人って何か手に持っていると安心するんですよね。

 

「このボール、何なんですか?」と戸惑いながらも、いつも笑顔でつきあってくれるスタッフに感謝しています(笑)。

 

 

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憧れの施設と

フランスのタサン透析センターの名前は、このブログでも何度かご紹介しました。

私が長時間透析に関心を持ち、オーバーナイトという方法を知った施設です。

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神戸の坂井瑠実先生にお会いしてお話をお聞きするまでは、ずっと先の憧れでしかなかった施設です。

坂井先生に励まされご指導を受けながら、実際に長時間透析を実施してやっとタサンの本当のすごさが分かり始めたところでした。

 

今回の学会で、同じポスター・セッションにそのタサンからいらしたドクターが発表されていました。

Dr.Charles Chazotです。

発表が終わった私のポスターの前で、オーバーナイト透析について雑談してくれました。

その中で。

「患者はハッピーでしょう?」

そう質問してくれました。

この問いかけを聞いて、ああ、この方たちも同じ動機なんだと鳥肌が立つほど嬉しかったです。

 

生存率などデータはもちろん大切で、その医療の正当性を裏打ちするものですが

「ハッピーになる。」

その言葉は、まさしく私達が実感し、実は本当に伝えたいことのひとつだったからです。

 

坂井瑠実先生も同じようなことを言ってらしたなあと思いながら、感激していました。

ちょうど井関先生も忙しいなか顔をのぞかせてくれ、一緒に写真を撮らせていただきました。

後で見たら、私はかなり嬉しそうです。

 

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国際血液透析学会に参加してきました

4月26日は国際血液透析学会に参加してきました。

沖縄コンベンションセンターが会場です。

 

国際学会に参加するのは初めてのことで、当たり前ですが各国からの参加者があったり

表示が英語だったりと、「おおっ」と感動しながら田舎者丸出しで参加してきました。

 

さて、以前にも投稿したように今回の大会長でもある琉球大学の井関先生のすすめもあって

私たちクリニックのオーバーナイト透析のことを発表してきました。

井関先生には改めて感謝しております。

 

幸いに興味、関心を持ってくれる方々の質問もあって、充実した時間を過ごせました。

 

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発表ポスターの前で。

発表前の緊張で、なんとなくドヤ顔に見えなくもない私です。

 

見学に来ていただきました

しまった!

と思っても後の祭りですね(笑)

せっかく見学に来ていただいて、一緒に写真も撮らせていただいたのに、ブログへの掲載の許可を取り忘れていました。

 

国際血液透析学会への参加で来沖したついでに、さくだ内科クリニックへ足をのばしてくれた先生たちでした。

金曜日に沖縄に到着したそうで、さっそくその日、オーバーナイト透析が始まる時間帯にいらしてくれました。

「良い透析」の実現のために意思と行動力があって、傍にいるだけで熱さが伝わってきました。

実際に透析を受けられている方たちの話を聞きながら、何かを得ようとする姿に

こちらこそ学ぶことが多かったです。

 

私も頑張らなきゃと触発されました。

ありがとうございます。

このご縁を大切にしたいと思います。

これからもよろしくお願いします。

 

 

この性分…

なんとか、やっと間に合ったようです。

週末に発表するポスター。

 

内容はともかく、形はできあがりました。

読み上げ原稿なしではとうてい無理なので、これからそれに取りかかる次第です…。

 

こういう〆切前にしか本気を出さない性分を何とかしたいと思いつつ

この歳になってからは、もう治らないでしょうね…。

 

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本心に還ること

診察室にいて思うこと。

私は人間関係に苦しむ人のそばにいる同伴者でいたいと願っています。

今までの人生を振り返ると、恐らくそれは私の役目のうちのひとつなのだと思っているからです。

 

人間関係がうまくいかないと思っている人の中には、自分がダメで、いたらないからだと責める人がいます。

でも、客観的に見て決してそんなことはないんですよね。

まだしっかり歩けていないだけです。最初から一人で転ばずに歩ける人などいないでしょう?

そういう状況で、相手の視線が気になって普段通りのことさえできなくなってしまうこともありますね。

悩み、困惑している姿が痛いほどわかります。

 

そういう方に伝えたいのです。

まず目をあげて周りを眺めてみましょう。

視線を落とすのではなく、胸をはって深呼吸しましょう。

 

そして、逆説的ですが、相手に受け入れてもらおうとするのではなく、相手を受けとめてみましょう。

相手の心に耳を傾けてみましょう。

そして、あなたの本心に戻ってみることです。

「人を信じたい。」「大切にしたい。」

信頼を育んでいくのは、相手のことを真剣に受け止めることが最初の一歩なんですね。

自分のことを信じてもらうには、相手をまず信じること。

残念ながら、自分のことを認めてもらおうとすればするほど、失うものの方が大きい気がします。

 

私自身が励まされるのは、そんな中で一生懸命に誠実に生きようとしている方がたくさんいることです。

診察室のドアを開けて立ち去る後ろ姿に、「こちらこそ、ありがとうございます」と頭をさげています。

その姿に励ましてもらっているのは、むしろ私の方だからです。

 

 

夏目漱石の「草枕」の有名な冒頭部分を引用して紹介します。

 

山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。

智に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される。

意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引っ越したくなる。

どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画(え)が出来る。

人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。

ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。

あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

 

「とかくに人の世は住みにくい。」のです。

 

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学校検診のお手伝い

浦添市医師会からの要請があって、先日クリニックに近い学校の検診のお手伝いをしてきました。

100人近くの男子高校生の検診をしたのですが、なかなか貴重な経験でした。

 

実は学校検診は初めてで要領がわからないのもあって、最初、この生徒はどんなことに興味を持ち、どんな生活をしているのだろうと、いつもの診療スタイルで臨んでしまっていました。

しばらくして、担当の先生から「先生、時間がありません。」と注意されたのは仕方がないことでした。

何しろ後ろにたくさんの生徒さんたちが控えていたのです。

 

これはとにかく身体的な所見を正確にとるしかない!と方向転換をして、心音の聴診と既往歴の有無に重点を置きました。

若い人の心音は普段聞きなれていなくて、元気にキックする音が強烈に耳に響いてきます。

心雑音を聞き逃すまいと集中していますから、なんだか元気を吸い取られていくようでした(笑)。

船に酔うような感覚です。

 

それにしても、みんな生き生きとしていたのが印象的でした。

高校生になりたての4月。

いろんな目標があって、これから学んでいくのでしょうね。

 

検診が終わって、迎えの車を待つ間、校舎の玄関前に立っていたら

生徒さんたちが「お疲れ様でしたぁ。」「さようなら。」と明るく声をかけてきてくれました。

疲れも吹き飛んでしまった瞬間でした。

良い経験をさせてもらいました。

 

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