勇気づける言葉

1人暮らしの高齢の女性が娘さんに連れられて受診してきました。

眩暈がするのとお腹が張って気分が悪いために食事が摂れないというのが受診の理由でした。

診察室で身体所見をとりながら、急性腹症などの重篤な疾患が隠れていないのを確認しました。

 

検査結果の説明をしながら、お薬を処方することを伝えました。

その時、娘さんは

「私が同じことを言っても、こんなに元気にならない。お医者さんの言葉はやっぱりすごいですね。」

と言いました。

いつもその方のそばにいてよく見ている娘さんは、ご自分の見立てで「大丈夫」ということを伝えようとしたようです。

けれども納得しないどころか、どんどん症状が強くなっているような気がして、不安になったので受診させたのでした。

「来た時に比べて笑えるぐらい元気になった。」

 

医者の使う言葉に責任を持たなければと思う出来事でした。

「勇気づける言葉」というのは、こちらが元気でなければ出せない言葉ですね。

気をつけたいと思います。

 

 

「同志」と呼べる仲間

先週末には東京に出張に行ってきました。

久しぶりの出張で、久しぶりに飛行機に乗った気がします(笑)。

 

志を同じにするのが文字通りの「同志」ならば、私にはその通りの仲間がいます。

 

以前に中部病院勤務医時代に先輩ドクターから教えてもらったことがありました。

「沖縄にいることはハンディではない。『この人すごい!』と思う人がいたら手紙を書いて伝えること。」

「相手が思わず応えてしまうぐらい熱い想いを伝えること。「沖縄に○○という変な奴がいる」と思ってくれたらシメたものさ。そんなつながりを大切にすることだ。」

先輩ドクターの言う通りにして、今まで良かったと思う経験はたくさんありました。

 

つながってくれた方たちには感謝の言葉をいくら並べても足りません。

道に迷っても「前はこちら」と向きを教えてくれる方たちですし、「前進」のために背中を押してくれる方たちです。

 

今回も、実際に会ってお話をして、たくさんのヒントとやる気と勇気をいただいてきました。

沖縄に戻って思ったこと。

周りの方たちにも志をともにしていただけるよう、自分自身の殻を砕いていきたいと思います。

 

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ハブのお話

個人的には、最近はハブを見なくなりました。

その一方でハブ被害は年間約100名前後で推移しているそうです。

下のグラフは沖縄県衛生環境研究所のホームページから

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小さいころにはハブは珍しくもなく、友人たちがクワガタを採りに山に入ってハブに遭遇した話はよく聞いたものです。

子どものことですから、いくらか脚色はあったとしても、それだけ身近な生き物でした。

今は開発されてしまってすっかり地形さえも変わってしまいましたが、国際センター近くの前田の森にはトカゲなどの小動物がたくさんいましたからエサも豊富だったと思います。

 

ある晩、私の母が用事を済ませた帰路で、道に1本の縄を見つけました。

近視の母は、日ごろからこういうことの勘が働く方で

「縄にしてはおかしい。」

と、その場で立ち止まったそうです。

タイミングよく、“縄”をはさんだ道の向こう側から、男の人が通ってくるのが見えました。

「それ、縄かね?」

「うわ。ハブだよ!」

男の人は長い棒を持ってきてハブを退治しました。

家の近くだったので、子供の私も見に行きましたが、結構な大きさだったのを覚えています。

果たして三線にしたのか、ハブ酒にしたのか…。

 

山が開発されて、住処を追われたハブはどこに行ったのでしょうか?

 

ハブと村人の会話

村人:「ヘビ君、ヘビ君。君は毒を持っているのかい?」

ハブ:「Yes, I have. 」 ≒ 「はい、私はハブです。」

 

 

 

 

 

「人魚の羽根」 プアヒナノ ダンス・スタジオのダンスショー

 

掲載の許可をもらいましたので、宣伝しますね。

「第8回プアヒナノ ホイケ&ショー 2014」

北谷町にあるプアヒナノ ポリネシアン ダンススクールの企画です。

 

リンクを貼っておきます。こちら → プアヒナノ

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【日時】2014年11月1日(土)

【場所】沖縄コンベンションセンター《劇場棟》

【第一部 ホイケ《発表会》】開場 11:00 開演 12:00

【第二部 ポリネシアンショー】開場 18:00 開演 19:00

 

ショーのタイトルは「Fa’aipo’ipo ~人魚の羽根~

神話をもとにした創作ストーリーとダンス。

感動の世界へと誘ってくれるはずです。

 

YouTubeに、昨年のショーのPR用の動画がありましたので、載せておきます。

 

 

「呼吸力」

 

経験をしたことがありませんが、合気道に興味があります。

瞑想の時、座禅を組む時、あるいは日常の生活の中で、呼吸法は大切だと教わりました。

お話を伺うと、ヨガや禅、それに合気道には、その「秘訣」があるようです。

武道はどの武道もそうなのでしょうが、「胆力」を練るためには呼吸をおろそかにはできません。

 

伝説の武道家、塩田剛三氏の子息である塩田泰久氏の著書を読んでみました。

 

 塩田泰久著 不世出の武道家・塩田剛三直伝 「達人」の秘訣は「呼吸力」にあり

 

塩田剛三氏が「合気道で一番強い技は何ですか?」と弟子に質問され、返した答えが

「それは自分を殺しに来た人と友達になることだ」と言ったそうです。

本当の強さと心のゆとり、人間としての大きさがなければできないことです。

 

この話に、勝海舟と坂本龍馬の出会いを思い出しました。

敵をも上手に受けとめ、包み込んでしまう懐の深さ。

 

人間としてすさまじい境地ですね。

 

 

シャボン玉

 

ジャン・コクトーの短詩は、短く少ない言葉でありながら、様々な心象風景を連想させていきます。

詩人・堀口大學の訳詩がその素晴らしさを引き出しているのでしょう。

 

シャボン玉   ジャン・コクトー 堀口大学訳

  シャボン玉の中へは

  庭ははいれません

  まはりをくるくる回つてゐます

 

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単純な言葉でスケッチする。

まるで俳句を詠んでいるような気になります。

 

耳   ジャン・コクトー 堀口大学訳

  私の耳は貝のから

  海の響をなつかしむ

 

 

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「在宅血液透析」 と 「スタッフ募集」

 

来週と今週の木曜日は「在宅血液透析」について学ぶ機会に恵まれました。

明日は私が参加している「診診ネットワーク研究会」が共催している「透析医療フォーラム」で。

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来週は東京ネクスト内科・透析クリニックの陣内彦博先生をお招きして「在宅血液透析ゆんたく会」があります。

 

明日は「在宅血液透析」についてメンバーに話題提供をすることが私の役目となります。

残念ながら、まだ沖縄では在宅血液透析をしている患者さんは一人もいません。

離島県の沖縄で、在宅血液透析が行われることはいくつかの意義があるものと思っています。

しかし、実際に青写真を描いてみると、私たちクリニックでは準備がまだ十分でないことがわかっています。

マンパワーの問題など越えなければならない壁はいくつかあります。

ビジョンをもとに計画を立てて着実に進んでいかなければなりません。

 

ここで スタッフ募集のお知らせ です。

「在宅血液透析」に関心を持ち、わたしたちのクリニックの理念に賛同して「仲間」となってくれる臨床工学技士さんはいませんか?

自分のことを横に置いても、助け支えようとする気持ちがある方。

人を見たら、どうしたらその可能性を引き出せるのかと考える方。

連絡をお待ちしています!

 

さて、来週の「ゆんたく会」のチラシが届いています。

とても楽しみにしている会です。

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「僕のエリ 200歳の少女」

 

ホラーやオカルト映画が大好きな方です。

家族に同じ趣味がいないので映画館で観ることはないのですが、レンタルビデオを借りてきてもっぱらひとりで観ます。

 

そのつもりで借りてきたビデオの中の1本がこの「僕のエリ 200歳の少女」でした。

確かに、登場するのはヴァンパイアですし、エグい描写もありますから、ジャンル的にはホラーの分類で良いのでしょう。

 

けれども、メインテーマはおそらく「初恋」でした。

「初恋」が成就した時、12歳の少年 オスカーが運命に要求されたのは、不条理な献身だったのかも知れません。

暗示されるのは過酷な未来と彼の苦悩です。

 

白い雪と黒い木肌が印象的な景色。

非日常な出来事をあえて遠景で描写することで、物事が静かに流れていきます。

 

淡々と流れるストーリー描写が、ヴァンパイアに感情移入しやすくしています。

甘酸っぱい気持ちが思い出されました。

ホラー映画としてではなく、ラブストーリーが好きな方におすすめです。

 

http://youtu.be/iifcR6wf0Z4

 

 

 

 

沖縄三越の閉店

昨日、9月21日は沖縄三越の閉店の日でした。

57年間の年月は、数多くの思い出を人々に残していきました。

 

私も小さい頃には、家族で「那覇に行く」と言ったら国際通りに行くことでしたし、最終目的地は「三越」か久茂地の「文教図書」でした。

そして那覇に行く時にはいつもきちんとした服装を着せてもらっていました。

三越の屋上には遊園地もあって、私の記憶には乗り物たちがなぜか雨の風景に溶け込んでいます。

ファミリーレストランの一コマも幼い頃の家族の思い出です。

 

だんだんと時代の移り変わりの中で、天井が低く感じたり、トイレのスペースが狭く感じたりしたのは私の体が成長しただけではなかったかも知れませんね。

「寂しい」と言ったらそれまでですが、時代の流れを感じた瞬間でした。

 

 

こちらこそ、ありがとうございました。

 

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「こころ」

言わずと知れた夏目漱石の不朽の名作です。

 

 

以前に娘が高校で、この「こころ」を題材に深く読み解いていくという授業をしていました。

自分とは違った友だちの解釈に感動しながら、とても楽しそうに話をしてくれたものです。

「私」と「先生」との関係について、BLマンガになぞらえた娘の友人は妙に乗り気だったと言っていましたし

「K」や「先生」が「自殺」する選択に、どう解釈しても腑に落ちないのだと愚痴ってもいました。

 

「自我」と「他者」との関係。

登場人物たちに共通しているのは己の「自我」に真面目に向き合う「自我」。

孤独感にみちた、屈折した心の軌跡を読者は追うことになります。

 

「こころ」は、やはり時々読み返したくなる小説ですね。