朝食を食べましょう

 

生活習慣の改善は、手っ取り早い方法があるわけではなく、「できること」から始める。結局はそれしかありませんね。

例えば、朝食を食べているかどうか。

朝食をとらないと、昼食や夕食にしわ寄せがきて、結局は総カロリーが過剰になる傾向になります。

肥満の人に多くみられるようです。

 

厚生労働省が発表している 「国民健康・栄養調査」 の結果で日本人の生活習慣に関する状況が把握できます。

朝の欠食

男性の20歳から39歳までが欠食率が突出しています。

働き盛りのこの習慣が、年齢を重ねて健康を害することになるかも知れません。

また15歳から19歳までの中学~高校の生徒さんたちの欠食率も心配です。

 

ちなみにこの調査では、下記の場合を「欠食」と定義したそうです。

食事をしなかった場合

錠剤などによる栄養素の補給、栄養ドリンクのみの場合

菓子、果物、乳製品、嗜好飲料などの食品のみを食べた場合

 

 

 

 

「変身」 カフカ

 

「救われない」「どこにも居場所がない」 暗く重い小説です。

 

主人公がある朝目を覚ますと虫になっていたというありえない設定で、導入部分はある種エキサイティングです。

けれども、その展開はどこまでも絶望的で救われず、結末まで陰惨な小説です。

 変身 フランツ カフカ著

 

私はこういう小説が思春期の頃はなぜか好きでした。

「救いがない」という状況なのに、何もかもが捨て去られた「軽やかさ」を感じていたような気がします。

この「変身」という小説ほど、読み手によってとらえ方が違う小説はないかも知れませんね。

 

Metamorphosis

今読むと、現代社会の数々の問題点と重なって(例えば介護の問題とか)、かなり考えさせられました。

 

青空文庫で読めますし、Kindle版は0円でした。 

青空文庫のリンクはこちらです。 → 「変身」

 

検査項目の説明 「LDH」

LDHという検査があります。

患者さんから「これはどういう検査ですか?」と質問されることも多い検査です。

できるだけ分かりやすく説明しようとするのですが、それでもなかなか理解しにくいだろうなと思います。

 

LDHというのは、「乳酸脱水素酵素(にゅうさんだっすいそこうそ)」の略です。いわゆる逸脱酵素(いつだつこうそ)と呼ばれているもので、まずそれから説明した方が良さそうですね。

 

Wikipediaの説明を借りると、以下のようにあります。

 

「逸脱酵素(いつだつこうそ)とは、本来細胞内で働いている酵素が何らかの理由で血液中に流出したものである。 流出する理由としては、細胞自体の破壊、もしくは細胞膜の透過性亢進などで、多くの場合は組織障害に由来している。

臨床上、逸脱酵素の血中濃度を測定することで臓器がダメージを受けていないかを推測することが可能で、臨床検査の一環として頻繁に行われている。」

 

逸脱酵素ごとにどの臓器に分布しているかが分かっていますから、ダメージを受けている臓器を推測できるわけです。

 

LDHは、肝臓、赤血球、筋肉、悪性腫瘍などにあります。わりと多くの組織に分布しているのですね。説明がしにくいのはそのためでもあります。

クレアチニンやγ-GTPなら「クレアチニンが高くなっているのは腎臓のはたらきが弱いから」とか「肝臓が無理をしている」などと簡潔に説明できるのですが、LDHはある特定の臓器に限局していません。

しかも、LDHはLDH1からLDH5までの5種類あって、病気によって異常値を示す種類が異なります。

そのため、LDHが高い場合にはどの種類のLDHが高いのかを確かめることになります。

LDH1とLDH2なら、心筋梗塞、腎梗塞、悪性貧血、赤血球がこわれる溶血性貧血など。

LDH2とLDH3なら、多発性筋炎、筋ジストロフィー、白血病、消化器がんなど。

LDH5なら、急性肝炎、肝細胞がん、子宮がんなど。

 

つまり、LDHが高値であると、全身を調べた方が良いというわけです。

正常値は120から245 IU/L。

関節リウマチの場合も、軽度上昇することがあります。

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久しぶりの休日

今日は成人の日の前日。

中学校の体育館を式典に使用するということで、中学生の娘も部活が休みだったようです。

 

ということで、久しぶりに家族そろってショッピング・モールに出かけました。

初売りセールの終盤ということもあってか、たくさんの人で賑わっていました。

 

 

つい最近「UFOを目撃したけど誰も信用してくれない」と嘆く娘をなぐさめたり

偶然に本屋の参考書コーナーの前でクラスの友達と遭遇して、親といる時とは違った表情を見せる息子に複雑だったり

あいかわらず、衣料コーナーでふくれっ面でしめくくってしまう末娘をなだめたり

「おしゃれ過ぎるって学校の先生に指導されるかなあ」となかなか腕時計を選べない娘に付き添ったり

 

私にとっての久しぶりの休日を過ごしていました。

1-DSC_0356

ウイルス感染症の発熱パターン

 

インフルエンザの流行期です。

那覇ではインフルエンザ定点あたりの患者報告数が100人を超えていますし、すでに大流行と言っても良いかも知れません。

 

インフルエンザにかかると、発熱、全身のフシブシの痛み、だるさ、鼻水や咳などの上気道炎症状が出てきます。

「私おかしい。なんかいつもと違う。」と思わせてしまうのがインフルエンザで、症状のピーク時には「このままダメかも知れない」と一瞬思ってしまう人もいます。

流行の規模が大きいだけではなく、症状の辛さがインフルエンザが恐れられている理由でもあります。

 

特にインフルエンザに罹った時の熱は、解熱剤でなかなかさがりません。

それには理由があるとされています。

下に、ウイルス性感染症(いわゆる「風邪」など)にかかった時のおおまかな発熱パターンを図に示しました。

発熱パターン

ウイルスが体内に侵入すると、体の中の防衛軍である「白血球」や「マクロファージ」がウイルスを認識して攻撃をはじめます。具体的にはウイルスを食べるように取り込みます。

すると、これらの細胞からサイトカインという物質がつくられます。

このサイトカインが伝達物質を通じて脳の視床下部にある体温調節中枢に「体温をあげるように」というメッセージを送ります。

このメッセージに従って、体温調節中枢は設定温度を「高温」にセットします。

体は脳からの指令にしたがって熱をあげるために筋肉をふるえさせたりします。悪寒が走るのはこの時ですね。

 
つまり、直接的にはウイルスが熱を出しているのではなく、自分の体が自己防御のために熱を出しているのです。

体はエネルギーを総動員して熱を出すことに集中しますから、全身のだるさが出ますし、頭痛もします。食欲も落ちます。

 
なぜなら、ウイルスは低温の方が増殖しやすく、熱があると増殖が抑制されるのです。

また、体温が上昇すると前述の白血球の働きが活発になります。

そのうえ調節中枢の設定温度が「高温」になっていますから、解熱剤ごときではなかなか下がらないのは当然のことと言えます。

ウイルスを退治するために体が熱をあげているのですから。

 

ウイルスによる発熱の自然経過を知ることは、そのほかにもその後の対応を誤らないための助けになります。

この経過から外れていたら、例えば二次的な細菌感染を併発した場合とか、別の病気を考えた方が良いかも知れませんから。

 

 

「良医の条件」

slideshare というサイトに「救急診療に役立つ暗記メモ集」というスライドがありました。

Yuichi Kuroki先生という方がまとめたスライドなのですが、その中の1枚目が「良医の条件」でした。

「DOCTOR」の頭文字で、その条件をまとめたものです。

なるほど面白いと思ったので、紹介しますね。

 

D : Desire:熱意がある
 
O : Open-minded:広い心で偏見がない

C : Communication & Callaboration:他科や他職種との意志伝達や協力ができる

T : Treat patient with humanity:患者を温かく扱う

O : Organize:統率力がある

R : Regardful:注意深く対処する

 

自分をふりかえって、ちゃんとできてるかなあと反省していました。

 

 

 

インフルエンザ流行警報が発令されています

 

沖縄県のインフルエンザ流行状況で、2015年第1週(12/29~1/4)の定点あたり報告数は48.74人となって警報レベルに達してしまいました。

詳細はこちらのサイト → 沖縄県感染情報センター

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年末年始で人の動きが活発になったからでしょうか。年齢別では、特に20歳以上の増加が著しくなっているようです。

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確かに年明けの外来診療でも、明らかにインフルエンザが流行しているのを実感します。

インフルエンザの流行に隠れて、胃腸炎症状のウイルス性感染症もちらほらありますが、やはり圧倒的にインフルエンザが多いです。

 
何度も言うようですが、しつこいぐらいの手洗いをしましょう。

予防するのにやりすぎるというのはありません。

 

「Future」は今年

 

1980年代に流行した映画に「Back To The Future」がありました。

言わずと知れた過去・現在・未来をつなぐタイムトラベルの娯楽映画です。

私も何度も見て、設定の細かさや「隠れネタ」を発見するのが楽しみでした。もちろん、タイムトラベルものですから、パラドックスや倫理観など難しく考えると、頭がこんがらがりますが、エンターテイメントに徹していたところが見事なハリウッド映画でした。

その続編の「Back To The Future 2」。近未来へ行ったり、1950年代に戻ったりとパート1から続くハラハラドキドキの展開でした。

この映画の近未来の時代設定が、主人公が生きている1985年から30年後の2015年なんですね。

 

ニュースでも、何が実現していて何が違うのかを取り上げていました。

モニターを多用するようになっていることや、3Dなどはそれらしいですね。

さすがに空飛ぶタクシーはありませんが、それでも30年という年月はほかの時代に比べても進歩のスピードがすごい加速だと思います。

 

http://youtu.be/uNstYI_h2_g

 

 

 

笑顔の人は長生き

 

2010年にアメリカの心理学専門誌に発表された論文です。

 

「笑顔が大きいほど長生きする」

Smile Intensity in Photographs Predicts Longevity

Psychological Science April 2010 21: 542-544, first published on February 26, 2010

 

1950年以前に大リーグでプレーをした野球選手で、52年に選手名鑑に掲載された230人を調査したものです。

その顔写真をもとにスマイルの程度を分類しました。

その結果、無表情な顔は「笑顔なし」で63人、口の周りの筋肉だけが笑っている「つくり笑い」が64人、口も目も笑っていて両頬が上がっている「満面の笑顔」が23人でした。

 

それらを約50年後の2009年6月になって、すでに亡くなっている選手の死亡年齢を比較したのです。

「笑顔なし」が72.9歳

「つくり笑い」74.9歳

「満面の笑顔」79.9歳

 

このように、「満面の笑顔」の選手が長生きでした。

どんな笑顔でいるのかは、その人の気持ちの持ち方を反映しているのでしょう。

そして、それは心身の健康と密接に関係していることを示しているのだと指摘しています。

 

面白いのは、「つくり笑い」であったとしても、「笑顔なし」より平均で2歳も長生きしていることなんですね。

笑顔は大切。

それがたとえ、写真用のつくり笑いであったとしても。

 

Mona_Lisa

 

 

 

「スーパーブレイン」

 

「今の自分をいかに変えるか」というテーマは自己啓発本に数多くみられるテーマですね。

脳の中で何がおきているのか?という視点から、医学博士である著者がひも解いてくれている本です。

 

 SUPER BRAIN ディーパック・チョプラ (著)、村上 和雄 (翻訳)

 

例えば、第2章では脳に関する5つの通説について、取り払うべきだと主張しています。その5つとは

1)傷ついた脳が自然に治ることはない

2)脳の配線を変えることはできない

3)脳の老化は避けられず、脳が若返ることはない

4)脳では毎日、数百万もの細胞が失われ、失われた細胞の代わりは存在しない

5)原始的な反応(恐れ、怒り、ねたみ、敵意)が高次の脳を支配している

 

ひとつひとつを丁寧に解説してくれていますから、今まで常識とされていたことについて考え直すきっかけになります。

そして、今の自分を変えていくことを、自分も挑戦してみようという気持ちになります。

状況を変えたいと願う人なら、おすすめの本です。