今日は認知行動療法の中の「暴露法」について説明します。
誰でも、不安や恐怖はできることなら回避したいものです。
けれども、回避行動をとりつづけていると、苦手な場面はいつまでも苦手なままであるばかりか、不安や恐怖をさらに強めてしまうことがわかっています。
もちろん、全ての場面で回避することが良くないと言っているのではありません。
身の危険を避けるための回避はとても大切で必要なことですし、恥ずかしいことでもありません。それは強調しておきますね。
ただし、不安や恐怖を感じなくても良い場面で、ことさらに不安や恐怖を感じ、生活の支障をきたしているという方がいます。
階段が昇れない高所恐怖症の方とか、エレベーターに一人では乗れない閉所恐怖症の方とか。
そういう時に、意図的に不安や恐怖を感じる場所に居続けて、身をもって体験し理解する方法を「暴露(エクスポージャー)法」と言います。
苦手な場面に自分をさらすわけです。
この方法は、苦手な場面にいても、自然と気にならなくなるまで居続けるというのがミソです。図をご覧ください。
まだ不安度数が高い時に退席してしまうと、「やっぱりダメだ。無理」という意識を強めてしまいます。
私にも幼い頃、こんな経験があります。区の夏祭りでちょっとしたアトラクションがありました。
肝だめしで暗闇の畑のあぜ道を歩き、林の中のガジュマルの木の下に印を置いて戻ってくるというものです。
もともとの企画が二人ペアだったのが、「一人がいい!」と年長の子どもたちが言い出しました。
子どもにとってはなかなかの恐怖です。
けれども、一人で歩いていると最初は怖かったのが、だんだんと闇にも慣れてきて割と平気になってきました。自分の方が闇の住人になったような気がして、ニヤリと悪そうな笑顔も出てきたものです。
苦手な場面に直面すると必ず不安になるけれど、その場に居続けることでそのうち必ず消えていく。
それをまず理解することから、ゆっくりと始めたらいいですね。
まずはあまり無理をせず、一段目を上るぐらいの「ほどほどの強度」がいいです。いきなりラスボス級の恐怖と戦うには心の準備が整っていませんし、苦手意識がさらに強まってしまいます。
軽い強度から少しずつ強度を上げていく「不安階層表」のようなものをつくるといいですね。